衆議院イラク支援特別委員会で25日、復興支援のあり方をめぐる参考人質疑が行われた。帝京大学教授の志方俊之氏、アジア経済研究所地域研究センター参事の酒井啓子氏の2人の参考人から意見陳述を受けた後、民主党からは池田元久議員が質問を行った。
酒井参考人は、意見陳述の冒頭、「テロに対する戦いの一環というイラク支援の位置づけを見直す必要がある」と提起。イラクでの復興支援活動は国際テロ組織の壊滅とは結びついておらず、支援すればテロがなくせるといった考えは短絡的だと指摘した。また、日本の支援策はイラク全体の経済活性化に積極的に関与することを基軸にすべきだとし、具体的に(1)バスラの計画的開発(2)イラク国外での医師、技術者などの育成(3)以上の支援を民間ベースの協力につなぐ展望のもとに進める、の3つのポイントを提起した。
池田議員は、今後の権力移譲と議会の構成に向け、イラク国内の各勢力間の距離関係について質問。酒井氏は、アラブとクルドの民族的対立は深いものの、アラブ内のシーアとスンナとの宗派対立は大きな問題ではないとし、全体として他のイスラム国家と比べてもそれほど複雑な状況ではない、との認識を示した。また池田議員は、今後の日本の援助のあり方について「シビリアン中心がいい」という考えを示し、酒井氏も「イラク国民には占領軍へのフラストレーションがたまっている。文民による支援を押し出していくのが有効」と同意した。
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