衆議院財務金融委員会で4日、野党の要求によって閉会中審査が開かれ、一時国有化された足利銀行(栃木県宇都宮市)の破たん処理問題に関する集中審議が行われた。民主党からは五十嵐文彦・『次の内閣』金融担当ネクスト大臣が質問に立ち、竹中金融・経済財政担当相に対して、同銀に対する金融庁の検査内容の問題や地元経済への対策などを質した。
五十嵐議員はまず、同銀の今年3月時点の資産内容についての自己査定と債務超過を指摘した金融庁の検査結果との乖離が非常に大きいことを問題にし、「粉飾が疑われる場合は、証券取引法24条に基づいて決算報告書の提出を命令すべきではないか」と質問。「虚偽の財務諸表に該当するとは判断していない」とする竹中大臣に対し、「(同銀の)決算報告を認めるなら、潰す必要はなかったのではないか」と指摘し、金融当局の査定基準のあいまいさを突いた。
五十嵐議員はさらに、同銀の9月期中間決算をめぐって、監査法人が当初約1200億円の繰り延べ税金資産を算入していたにもかかわらず、金融庁からの検査結果が通知される日に突如算入を一切認めないと通告してきたことについて、「金融庁からの働きかけがあったのではないか。潰そうと思ってやったのではないか」と追及。「銀行と会計士の間のことは分からない」などとごまかす竹中大臣に対して、繰り延べ税金資産の算入に関する基準の不明確性を厳しく指摘した。
その上で五十嵐議員は、「早期是正措置をやらなかったのは金融当局の怠慢。過去の轍をまた踏んでいる」と竹中大臣の責任を追及したが、竹中大臣は「過去に公的資金を投入しながらこうなったのは遺憾」などと一言述べたに過ぎなかった。
また五十嵐議員は、同銀からの融資を支えにしてきた多くの地元企業や出資者に対する救済措置をしっかり行うよう要請するとともに、地域金融円滑化法(金融アセスメント法)制定の必要性を改めて強調した。
このほか民主党からは、平岡秀夫、永田寿康、松本剛明の各議員が質問を行った。
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