参議院で5日、野党の要求により財政金融委員会が開かれ、足利銀行破綻処理問題について竹中金融担当大臣からの報告を受けたのち一般質問を行った。民主党からは谷博之、大塚耕平両議員が質問に立った。
地元栃木県選出の谷議員は、足銀破綻処理について「病気を治すと言って陰で劇薬を飲ませ、かえって体力を弱らせ、集中治療室に入れたようなもの。県内中小企業や県民の無念の思い、窮状を知ってほしい」と政府の対応を批判。また、資金繰りに不安を抱く中小企業への緊急融資や、足銀支援のため増資に応じた企業などへの損失軽減策を講じるべきだと迫った。
これに対し谷垣財務相は、「迅速的確に対応していくことが重要で、すでに30日から政策投資銀行など4政策金融機関が相談窓口を開いており、資金繰り円滑化に努める。株式保有者の心情は察するに余りあるが、株式が無価値になったというだけで救済することは難しい。融資等で対応したい」と答えた。
日銀出身で金融政策に明るい大塚議員は、「財務状況が債務超過なら、ルールに従って一時国有化するものやむを得ないが、繰り延べ税金資産を中核的自己資本の200%になるまで計上してきた旧経営陣の姿勢はすでに公益を害しており、適切な事前指導を行わずにこれを放置した金融庁も不作為のそしりを免れないのではないか」と指摘。これに対して竹中担当相は、「足利銀行への対応に齟齬はない。銀行法に則って13回の報告徴求命令と1回の業務改善命令を出すなど厳正に監督を行ってきた」と自らの責任を否定した。
大塚議員はまた、「足銀の店舗網や県民の信頼など、バランスシート上に反映されない無形資産をしっかり踏まえ、今後の受皿に二束三文で渡すことがないようにすべきだ」と表明。竹中担当相も「価値が大きいことを認めてもらいたい。その趣旨にそって処理を完了しなくてはならない」と応じた。
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