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2004/04/09
【衆院厚労委】年金抜本改革、保険料流用などで論戦
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 衆議院厚生労働委員会で9日、政府提出の年金関連3法案および民主党提出の年金抜本改革推進法案に対する実質審議がスタートした。

 委員会の冒頭、1日の本会議で年金一元化について小泉首相が答弁を拒否した問題をめぐり、再質疑が行われた。質問に立った民主党の枝野幸男政調会長は、テレビ番組での1年後に一元化する(のが望ましい)という発言と、現行制度を前提とした政府の年金関連法案とがなぜ矛盾しないのか、と改めて小泉首相に質した。ところが首相は、「一元化するには2、30年かかる。今回の法案を通しても十分間に合う」などとトンチンカンな答弁。枝野政調会長は、「年金不信を解消し安定した制度にするためにどういう改革が必要だと考えているのか。一元化が望ましいというなら、せめてその骨格を示せ。民主党は一元化の枠組みを示している」と詰め寄ったが、首相は「政府案の制度でも50年から100年はもつ。国民が一元化がいいと言うならそれもいい」などと、驚くべき無責任な態度をさらけ出した。
 
 続いて、民主党案と政府案に対する質疑が行われた。民主党案提出者からは、枝野政調会長、古川元久『次の内閣』ネクスト厚労相、五十嵐文彦ネクスト経済財政・金融相、山井ネクスト副厚労相が答弁に立った。

 自民党議員は民主党案と政府・与党案のページ数の多寡を示して「民主党案は数字が1つも書いていない」と批判。これに対し古川議員は「与党案のデータを作ったのは、年金保険料流用などで問題となっている厚生労働省の官僚。ボリュームが厚ければ抜本改革であるかのように錯覚している自民党政治は、まさに官僚支配に乗っかった政治だ」と痛烈に反論。枝野会長も「民主党案は腐りかけた家の土台から作り直す、新しい枠組みを作る抜本改革であり、与党案は壁のペンキの色をどうするかの暫定的措置に過ぎず、抜本改革ではない」と喝破。「与党案の数字は虚像であり、そもそも政府は基礎データの信用できる情報を出していない」と指摘した。

 公明党議員は「民主党案には障害年金や遺族年金が盛り込まれていない。年金目的消費税ではすでに保険料を払い終わっているお年寄りには二重払いになる」と質問。障害年金と遺族年金の問題については山井議員が「最低保障年金と2分2乗方式という新方式導入により全ての人に安心感を保証している」、二重払いについては枝野会長や五十嵐議員が「保険料よりも消費税の方が逆進性が小さい。若い世代にのみ過去のツケをお願いするのは不公平。消費税の方がより公平だ」と説いた。
 
 政府案に対する質問に立った民主党の城島正光議員は、政府が年金財政破綻の打開策として法案で14年間の保険料アップを打ち出しているにもかかわらず、一方、平成16年度予算では社会保険庁の事務費等への充当分として年金保険料からの流用分約1000億円を計上した点を追及。「以前は一般会計から充てていたものを、(国民が)大変な状況から納めた年金保険料からの流用を決める。この政府判断は理解できない」と厳しく批判。小泉首相の認識を質した。首相は「年金の保険料は年金に当てるべきとの指摘は真摯に受け止める。より効率化を図っていく」などと答弁するにとどまった。
 
 続いて質問に立った長妻昭議員は、年金保険料の総額5.6兆円にものぼる流用実態について追及した。長妻議員は「政府は、被保険者、被保険者であった者及び受給権者の福祉を増進するため、必要な施設をすることができる」とした厚生年金保険法第四章第七十九条、国民年金法第四章第七十四条があるために、その拡大解釈によってグリーンピアに代表される無駄な施設建設や社会保険庁舎整備費や公用車維持費、職員の交通事故賠償金等への流用が可能になっていることを指摘し、条文の削除を求めた。小泉首相は「その指摘も含めて検討したい」との意向を示した。長妻議員は重ねて、流用された保険料は返済すべきと指摘。坂口厚労相は「財務大臣とよく話し合う」とし、国庫への返済を視野に入れて検討するとした。

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