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2005/11/16
日米首脳会談を受けて(談話)
民主党政策調査会長
松本 剛明


ブッシュ大統領夫妻の来日を心から歓迎する。限られた日程の中ではあるものの、紅葉の京都を楽しまれたことと思う。民主党は「信頼と対等のパートナーシップに基づく日米関係の深化」をめざしており、両国首脳が緊密な会談を行うことは喜ばしいことである。ただし、たいせつなのは内容であり、主体的戦略的外交が展開されているか、また国民に対して充分に説明されているかが問われる。

 消費者が極めて高い関心を寄せている牛海綿状脳症(BSE)に端を発する米国産牛肉の輸入再開問題については、ここまで米国に押され続けているように見受けられるが、いかなる協議が本会談で行われたのか。また、米軍の変革に伴う在日米軍の再編に関しても、関係する地元に反対があるとの事実に触れるのみで、最終報告に向けて米国にいかなる主張を行ったのか、共同会見の場でまったく説明がなかったことには落胆を禁じ得ない。日米同盟を前提としたわが国防衛の主体的な戦略策定の取り組みを疎かにしてきたからではないか。さらにイラクへの自衛隊派遣延長について、12月14日の基本計画の期限までに総合的に判断するとの立場を再度表明するのみで、サマワの自衛隊の状況や日本国内の声をどれほどブッシュ大統領に示したか、大いに疑問である。民主党は自衛隊の速やかな撤退を政府に重ねて要請する。

 これらの諸問題を両首脳がしっかり協議・交渉し、それぞれの国民にしっかり説明できなければ成熟した日米同盟はあり得ない。民主党は従来型の米国主導の同盟関係を一日も早く脱却し、それぞれの国益に基づいて率直に議論し合える対等の、それ故に持続可能な日米関係の構築のために今後も努力していく。

 尚、アジア外交に関して、小泉総理は会見で、日米関係の緊密化を通して中国やアジア諸国との良好な関係を作ることができると言及しているが、これは裏返せばそこに問題があることを自ら認めた発言とも言える。稚拙な小泉外交により近隣諸国との間に外交的な足場を固められないでいる日本は、米国から見て必ずしも信頼に足る同盟国と映らない虞があることも認識すべきであろう。民主党は、小泉総理がアジア、就中東アジア外交を建て直し、東アジア各国の間でも、拉致を含む北朝鮮に関わる問題など懸案事項が前進するよう、日米で行われるように、直接に対話する積極的かつ活発な首脳外交の展開を強く求める。


以 上
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