衆議院厚生労働委員会で14日、政府提出の年金関連3法案および民主党提出の年金抜本改革推進法案の質疑が行われ、民主党の長妻昭、中根康浩、馬淵澄夫の各議員が社会保険庁による年金保険料の不正運用問題などを追及した。
長妻議員は、「国民年金特別会計と厚生保険特別会計の支出は厳密に分けられるべきだが、ドンブリ勘定の疑念がある」として、グリーンピアなどの福祉施設や社会保険庁職員用マンションの建設費、コンピュータ経費などに対する両特別会計の支出割合が厚生年金の方に大幅に偏っている根拠を追及した。しかし、坂口厚労相や森副厚労相は「財政事情を勘案し」などと曖昧な答弁で根拠を明らかにしなかったため、委員会はしばし中断。厚労省側は「改めて調べ直して答弁する」としたが、長妻議員は「特別会計間の融通は法律違反」と厳しく迫った。
中根議員は、社会保険庁が導入した金銭登録機、印刷システムが1社の随意契約になった理由を質した。金銭登録機は平成14年度で4億3469万円にも上る巨額な調達。金銭登録機、印刷システムとも株式会社カワグチ技研のものが、社会保険庁、全国の社会保険事務所、自治体の国民保険課に導入されている。
中根議員はまず、「見積もりを取った会社の数、決定した理由」を質した。森副厚労相は「年度内に納めることができたのがカワグチ技研だった。他にはできなかった」と答弁した。中根議員はカワグチ技研を訪問したことを明らかにし、その際、「名刺が必要な仕事をしていないので名刺もない。会社のパンフはない」と対応した職員が述べたことを示し、このような会社と保険料を財源として契約したのは納得できないとして、同社の川崎義幸社長の参考人招致と会社についての詳細情報の提示を求めた。坂口厚労相は「調査して答弁します」と答弁、参考人招致は理事会で協議することとなった。
馬淵議員は、数年前に厚生省局長の諮問機関から歯科衛生士の養成期間を2年から3年に延長する意見書が出されながら、見解が2転3転したことを取り上げ、このような厚生労働省の仕事ぶりでは、年金の抜本改革などできないと批判した。これは、当時の局長と厚生委員長の木村義雄議員(自民)が、厚生省の見解を歯科医師会の意向を受けて曲げたのではないかというもので、馬淵議員は日本歯科医師会、大阪歯科医師会からの木村議員への献金額も示して追及した。
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