参議院厚生労働委員会で20日、日本歯科医師会の汚職事件をめぐる集中審議が行われ、民主党・新緑風会の山本孝史、朝日俊弘両議員が質問に立った。
山本議員は「日本歯科医師連盟による自民党の特定の政治家への政治献金によって政策がゆがめられたとの疑惑があるが、大変な事態」との認識を表明。かかりつけ歯科医初診料をめぐり日歯連の臼田会長からわいろを受け取ったとされる旧厚生省出身で中央社会保険医療協議会(中医協)委員だった元社会保険庁長官の下村健容疑者が、実際にこの問題を議論した中医協基本問題小委員会で突出して頻繁に発言している実態を明らかにした。
その上で山本議員は厚生省保険局長、社会保険庁長官を歴任し、保険や診療報酬に精通していた下村容疑者が支払い側と診療側の調整役を担い、厚労省も重用したのではないかとの考えを示し、「厚労省にも責任がある」と指摘。これに対し坂口厚労相は「元官僚であることは間違いないが、支払い側の代表として発言しただけ」とし、厚労省の代表ではないとした。
山本議員は医療政策決定の場である中医協が贈収賄事件の舞台となったことを重く受け止め、厚労省が「決定過程の透明性を確保する優れた仕組み」とするのに対し、「そうした認識を到底持ち得ない」と否定。真相究明に向け星野中医協会長の参考人招致を求めた。
朝日議員は、中医協のあり方について質問。まず、診療側委員に日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の代表が選任されていることなどを取り上げ、「個人開業医中心の時代に沿った構成になっている。しかしこんにちでは、病院医療が中心であり、しかも提供されているのはチーム医療が多い。考え直す必要があるのではないか」と指摘した。
また朝日議員は、診療報酬の決定に関して中医協が一手に権限を握っている現状について、「ある種の聖域性を解きほぐす必要がある。任務を明確かつ限定的にした方がいい」と提起。坂口厚労相も、「聖域という感じになっていることは事実。医療費が30兆円という額にまで大きくなり、さらに膨らんでいく中で、(診療報酬の決定に)国会がどう関与するのか、検証をどうするのか、決めた理由を科学的に説明できるようにする必要がある、という指摘は正論だ」と述べた。
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