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2004/04/22
【衆院厚労委】参考人質疑で年金不信の解消策を議論
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 衆議院厚生労働委員会で22日、政府提出の年金関連3法案および民主党提出の年金抜本改革推進法案をめぐる参考人質疑が行われた。午前中の質疑では一橋大学経済研究所の高山憲之教授ら4名が意見陳述した後、民主党から古川元久『次の内閣』ネクスト厚生労働相が質問に立った。
 
 高山参考人は(1)公的年金における約600兆円の債務超過をどう負担するかの構造改革が必要(2)公的年金制度の信頼回復につながる的確な回答が必要(3)15年間にわたる毎年1兆5000億円前後の負担増を求める政府案が実現すると、企業は従来より厳しいリストラを強行せざるを得ず、厚生年金の空洞化、若年層の労働市場からの閉め出し、消費支出の低迷、失業率の上昇等を招き、経済成長を阻害(4)お年寄りも今後20年間、給付が実質目減りする(5)政府案は保険料水準と給付水準双方を固定方式とするとしているが、2つを同時に実現するのは容易ではなく、受給開始年齢の更なる引上げに追いこまれる可能性がある(6)政府案による国庫負担引上げが実現すると、税金の無駄遣いが増える(7)拠出した掛け金は必ず年金給付の形で返ってくるスウェーデン流のみなし掛け金立てへの切替えが最善――などを指摘した。
 
 古川ネクスト厚労相は「損得の議論ではなく、持続可能な年金制度の構築に向けた議論を」として、公平・公正な年金制度を確立するのが民主党案だと前置き。現行制度の枠内で負担の構造改革を行う政府案で、年金制度への不信を払拭できるかを質問。高山参考人は公的年金が直面する問題は負担の構造改革と信頼回復の2点であることを改めて提示。現行制度の枠内での負担の構造改革だけでは信頼回復にはつながらないとし、改めてスウェーデン方式への切替えが望ましいとする考えを示した。
 
 午後は、日本経団連の矢野弘典専務理事や連合の笹森清会長らがそれぞれの立場から意見陳述を行った。笹森会長は、年金制度抜本改革の眼目は制度不信と空洞化の悪循環を解消することにあるとし、政府案については「基礎年金の土台の建て直しに触れていない。負担と給付の数字合わせだけ」と批判。連合の改革案に沿いながら、「基礎年金を税方式にすれば負担率15%、給付率60%でできる」と提起した。
 
 質問に立った民主党の山井和則議員は、まず政府案のように保険料を引き上げた場合の影響について質した。笹森会長は、負担率が15%を超えると労使ともにもたなくなるとし、政府案への賛成を表明した矢野理事も、18.3%までノンストップで上がれば企業ももたないことを認めた。また、雇用や経営を支えるためには民主党案のように年金目的消費税を導入する方が負担が少ないとする山井議員の主張に対し、矢野専務理事も「消費税を仕組みの中に積極的に採り入れていくべき」と述べた。

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