衆議院厚生労働委員会で28日午前、年金改革関連法案の審議が行われ、民主党の藤田一枝、内山晃、園田康博、水島広子、長妻昭の各議員が質問に立った。
藤田議員は、閣僚の年金未加入・未納問題で「年金空洞化が最大の課題となっている中、法案責任者(の未加入・未納)がさらに国民の不信感に拍車をかけた。しかも政府案では未納・未加入対策、徴収強化対策を盛り込んでおり、まさに笑止千万」と痛烈に批判。さらに、年金の徴収業務が地方から国に移って徴収率が落ち込んだことについて坂口厚労相が「国と地方ではきめ細かさが違う。失敗だった」と答弁したことを取り上げ、「徴収業務のあり方をただちに見直すべきだ」と追及した。厚労相は未納・未加入問題については全くのすり替え答弁、徴収業務のあり方については具体的な答えはなかった。
内山議員は、年金積立金の運用問題について運用受託機関34社の運用実績の評価やこれら受託機関との天下り・天上りの実態を質し、「運用の管理がなされているのか疑問。受託機関に丸投げされているのではないか」と迫った。また、政府案のマクロ経済スライドによる年金額の自動調整方式の欠陥や根拠とされる数値の矛盾を衝き、「政府案は国民不在の議論の中での小手先の改正案。これでは未加入・未納者の増加ばかりでなく、不況に苦しむ保険料拠出企業が雪崩のようにやめていき、年金制度は崩壊寸前。政府案は100年もつとセールスしているが、地滑りの土地の上に家を建てるようなもの。民主党案は地盤から改良工事する案」と喝破した。
園田議員は「年金改革案成立を国民に求めるのであれば、説明責任と自己責任を果たすべきだ」と指摘。個人情報であるとして全閣僚の年金加入・納付状況資料の公開を拒んでいる政府に対し、改めて資料提示を要請。国会議員まして閣僚は公人であり、「個人情報保護の対象ではない」と断じた。坂口厚労相は「閣僚のおかれている立場からご提出をと申し上げた。あとはそれぞれの大臣の判断」などと弁明に終始した。
水島議員は保険料引上げは企業を圧迫し、正社員からパート等への切替え等が起こり失業率の上昇を招く恐れがあることに改めて言及。「雇用に対する悪影響をどう手当てするつもりか」と坂口厚労相に質したが、「14年かけて徐々に上げていくので理解を」とするに留まった。また「多様な生き方、働き方に対応」としながら、モデル世帯の概念は夫が40年以上フルタイム勤務し、平均月収36万円以上、妻は一度も勤めたことない専業主婦としているが、実際にはこのモデル世帯が国民全体の何%を占めるかさえ算出できない現状を指摘。このモデル世帯を基準に、給付水準は50%が維持されると附則で示している点を「国民に幻想を与える」として削除を求めた。
長妻議員は、「年金保険料は年金給付にのみ使われるようにすべき」として、年金保険料のムダ遣い・流用を可能にする厚生年金保険法第79条と国民年金法の第74条の「福祉施設」に関して削除すべきとの考えを改めて指摘した。
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