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2003/02/03
【衆院本会議】岡田幹事長、小泉失政を全面批判
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衆議院本会議において3日、小泉首相の施政方針演説などに対する質疑が行われ、民主党の岡田克也幹事長が代表質問に立った。岡田幹事長は、経済失政、構造改革の後退、政治腐敗の放置、無原則な外交姿勢の4項目にわたって小泉政権の問題性を果敢に追及。施政方針演説の原稿を再読してお茶を濁そうとする首相に対して、異例の再々質問をも行って食い下がり、無気力な現政権に代わって政権を担おうと決意する民主党の勢いを国民に示した。

 小泉政権の経済失政について岡田幹事長は、まず個人破産件数や住宅ローンの代位弁済額の増大、世帯主・長期失業の増加、勉学環境の悪化など、具体的な数字を挙げながら生活者の視点から深刻な経済破綻状況を明らかにし、首相の責任を質した。しかし首相は、「改革の成果が明確に現れるにはまだ時間がいる。悲観主義に陥ることなく、自信と希望をもって改革にあたる」などと、国民生活の現実とはかけ離れた能天気な答弁。岡田幹事長は、「血の通った答弁を」と再度求めたが、首相は同じ内容を繰り返した。

 次に、来年度予算案において個人消費を冷え込ませる国民への負担増、増税を強行しようとしている理由を質し、とりわけサラリーマン本人の医療費窓口負担の引き上げについては凍結した上で医療制度の抜本改革を先行させることを求めた。しかし首相は、「個々の負担増のみでなく、社会保障給付の拡大や先行減税の効果なども含め、総合的に考えるべき」などと対置し、医療費本人負担引き上げの凍結についても拒否した。

 また岡田幹事長は、政府の来年度予算案について、歳出構造改革が頓挫していることを指摘し、作成中の民主党版予算案の骨子──(1)間違った税金の使い道を改める、(2)次の世代に対する投資、過重な負担の回避を重視する、(3)公共事業、特殊法人などの見直しによる財源確保、経済活性化につながる分野への重点配分、を柱とするもの──を提起。これに対する首相の見解を質した。しかし首相は、政府案の趣旨を淡々と説明するにすぎなかった。

 岡田幹事長はさらに、自ら規制改革の切り札と位置付けた構造改革特区構想における首相のリーダーシップ欠如、中小企業対策の欠落などを指摘し、地域金融円滑化法制定など民主党の中小企業金融対策への見解も質した。首相は、構造改革特区構想については「関係大臣に指示を出している」などとし、民主党の地域金融円滑化法案については「金融機関の業務内容を政府が画一的な基準で評価しようとするもの」などととらえた上で、慎重な姿勢を示した。

 構造改革をめぐっては、まず道路関係4公団民営化問題を取り上げ、改革案づくりで何の方向性も示さず民営化推進委員会の議論を混乱させたこと、自民党道路族の介入を野放しにしたこと、などについて反省の弁を求めた。小泉首相は、「(民営化推進委での議論は)委員長の辞任など残念な面もあったが大きな成果を挙げた。(民営化推進委と自民党道路調査会の)両会の意見を尊重して取り組む」などと当事者意識の乏しい答弁に終始。岡田幹事長がさらに、民営化推進委員会の最終答申を「基本的に尊重する」という首相の発言を取り上げ、「地方分割(全国を5つの地域に分割して新会社を設立する)は実行するのか」と具体的に質したのに対しても、「その方向で検討する」とあいまいさを残した。

 次に税制改革について岡田幹事長は、リーダーシップを発揮しないまま自民党税制調査会のペースで改革案がつくられ、「聖域なき税制改革」でなく「不況下の大衆増税案」になったと指摘。その責任とともに、自民党税調の廃止を求めた。小泉首相は、「私が指示した方針の下に(経済財政諮問会議と政府税制調査会の)両会議で検討してとりまとめた」などとして、リーダーシップ欠如はあたらないと反論した。岡田幹事長はさらに、小泉税制改革の理念を分かりやすく説明するよう求めたが、首相は「簡素、公平、公正、中立」などと思いつき的にしゃべった以上、言葉が続かなかった。

 さらに地方分権をめぐって岡田幹事長は、補助金・地方交付税・税源移譲がほとんど進んでいないことを指摘し、「私が総理の立場なら、まず補助金を思い切って統合し、一括交付金とすることで地方自治体の自由な判断と責任に委ねる」と明快に主張し、見解を求めた。首相は「地方に任せることが税金の無駄のない使い方につながるという考え方は同感」などと言わざるを得なかったが、現状については何も言及できなかった。

 政治腐敗問題については、まず大島農水相疑惑、自民党長崎県連事件など「政治とカネ」をめぐる問題が噴出していることを指摘し、それらについて自民党総裁として調査し、国会に報告することを要求。また、民主党が提出している公共事業受注企業からの献金禁止法案に賛成するよう呼びかけた。さらに、民主党が本年度から党本部の決算について全面的に外部監査を導入したことを紹介し、自民党も同様の措置をとる考えはないか、と質した。しかし首相は、疑惑調査については「各党・会派間の議論を踏まえて対応したい」などとまたしてもまったくの他人事答弁に終始し、献金禁止法案についても「自民党内で検討していく」と賛同を拒否。党財政への外部監査導入については「将来の検討課題」などとし、まったくやる気のない姿勢をさらけ出した。

 これに対して岡田幹事長は、「自民党総裁としての責任がある。何を改めるのか」と厳しく追及したが、首相は「国民の疑惑を招かないために何が必要か検討する」などと驚くほど暢気に答え、政治改革へ意欲のかけらもないことを自己暴露した。

 最後に岡田幹事長は、イラク問題を中心に政府の外交姿勢を追及。ブッシュ米大統領の単独行動・先制攻撃容認論、ならびに新たな国連安保理決議がなくともイラク攻撃は可能だという主張に対する態度を明確にするよう求めた。しかし首相は、イラクの武装解除が大事、問われているのはイラクの姿勢、などと繰り返すばかりで、原則もなく米国に追随する姿勢が明らかになった。岡田幹事長は「米国の先制攻撃容認論は従来の国際法における自衛権の考え方の否定だ」とさらに見解を求めたが、首相が質問の意味をとらえられず、議論はかみ合わなかった。

 岡田幹事長は、質問の終わりに、「国民の皆さまに申し上げたい。政治を変え、日本を変えるためには政権交代しかない。われわれに任せていただきたい」と力強く訴えて締めくくった。

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