衆議院憲法調査会は12日、国会内で初の中央公聴会を開き、6人の公述人から意見を聴取した。質疑では、民主党から大出彰、辻恵の両議員が質問に立った。
大出議員は井ノ川金三公述人(元群馬県林業改良普及協会事務局長)に対して、二院制問題についての民主党憲法調査会報告の内容を説明するとともに、連邦型分権国家と道州制、二院制の関係について質した。猪口邦子公述人(上智大学法学部教授)に対しては日本の軍縮政策の特徴について質した。猪口氏は「唯一の被爆国として国連での核廃絶決議の推進や非合法武器の完全禁止などで特徴的な役割を世界に発信しており、世界も特別の敬意を持ってそれを聞こうと対応している」と述べた。また、イラクでの日本の人道復興支援について猪口氏は「日本への好意的イメージを広くイラク国民が共有するための、日々の活動の中で目に見える人道支援の実を上げることが必要」と指摘。さらに将来の国連像と日本の役割について「国連しかないし、国連が壊れたら2度とできない。多国間主義の強化に日本は貢献すべき。国連はツールであって、日本は国連を通して自らの主張を訴え、指導的役割を担うべき」と強調した。
辻議員は、EUのように国民国家を越えた地域共同体の形成に向かっている世界史の流れとの関係で9条問題を捉えるという視点を提起した上で、日本の対外戦略と改憲の関係について小熊英二公述人(慶應義塾大学助教授)に質問。小熊氏は、日本が東アジアにおける協調関係の中でやっていかざるを得ない以上、アジア諸国に危惧を抱かせるような改憲は慎重に考えるべきだ、とした。船曳建夫公述人(東京大学教授)には、米国追随外交からの脱却の方向性について質問。船曳氏は「国連中心の外交に尽きる」と明快に指摘した。
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