民主党など野党4党の国会対策委員長は19日午前、国会内で会談し、(1)産業再生機構法案の質疑のための本会議開催を18日の議運委員会で与党単独の採決で決めたことは、きわめて不見識であり、強く抗議する(2)18日の衆議院予算委員会での名古屋刑務所受刑者死亡事件についての森山法相の答弁には虚偽答弁の疑いがあり、大臣の資格なしとの心象を強くする−−との認識で一致した。
会談後の共同記者会見で、民主党の野田佳彦国対委員長は、「産業再生機構法案は重要広範議案<注>であり、予算委員会の最中に本会議質疑を行うことを議運委員会の採決で決めるのはきわめて異例のことだ」と与党の国会運営を批判。自由党の山岡賢治国対委員長や社民党の中西績介国対委員長も「与党だけの議会というような議会運営が最近目立っている」「2回にわたって本会議の日程設定を採決で強行するというような乱暴な国会運営は聞いたことがなく、これが恒常化することを危惧する」と口をそろえた。
一方、虚偽の疑いが濃厚となった森山法相の答弁は、民主党の山花郁夫議員や社民党の阿部知子議員の質問に対するもの。01年12月、副看守長が受刑者の肛門部等をめがけて消防ホースで高圧放水し、直腸裂開などで死亡させたにもかかわらず、名古屋刑務所や法務省矯正局は「自傷行為による腹膜炎で死亡」と虚偽の説明を行って事実を隠蔽。法相は、昨年11月に国会で「(本事件を含む名古屋刑務所の3事件は)それぞれ検察において捜査中」と答弁し、1月末にも本事件について刑事局長から報告を受けていたにもかかわらず、「12日に副看守長が逮捕された時点で初めて事件を知った」などと答弁したため、18日の予算委員会審議が紛糾した。
この法相答弁について、19日の予算委員会前の理事会で法務省側から「法相の認識は、これまでの答弁と矛盾はない」とする説明資料が提出されたが、与党側や予算委員長からも「説明はあまりにおかしい」「重大に受け止めている。(19日)昼までに納得できる説明を」と声が上がり、昼の理事会で再度協議することとなっている。
<注>特に重要な案件として与野党が合意した議案で、本会議での趣旨説明・質疑や委員会での締めくくり総括質疑に首相が出席するもの。
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