民主党の菅直人代表は25日、国会内で定例の記者会見を行い、前日に米英両国などが国連安保理に提出したイラク攻撃容認の決議案について「まだそういう時期ではない」と述べ、批判的な見方を示した。
菅代表は会見の冒頭、同日に韓国の盧武鉉新大統領が就任したことに触れ、お祝いを述べるとともに、日米韓3国が北朝鮮問題に統一的な対応をとっていけるかどうかに注目したい、と述べた。関連して、24日に北朝鮮が日本海に向けて地対艦ミサイルの発射実験を行ったことについて、「瀬戸際外交の活動としてきちっと抗議すべきだ」と指摘。同時に、政府が北朝鮮のミサイル実験が行われた事実を1日経ってから発表したことに対して、「情報を把握できなかったのか、できていて隠したのか、いずれにしても国民への説明責任を果たす姿勢を欠いている」と批判した。
イラク問題をめぐっては、24日に米英両国らがイラク攻撃を容認する新決議案を、またこれに対抗して同日、仏・独・露の3国がイラク査察の強化を盛り込んだ覚書を、それぞれ国連安保理に提出したが、これについて菅代表は、「さらなる査察によってイラクの大量破壊兵器をなくす努力を続けるという仏独露の提案は理にかなっている」と言及。米英両国らの決議案について「“武力行使”という言葉はないが、それを認めるという意味合いで解釈させようとするものだ。まだ、そういう時期ではない」と批判的に述べた。
さらに、川口外相が米英の決議案について「国際協調の立場から支持する」などと述べたことに対して、「外相にとって『国際協調』とは米国支持と同じなのか。米国を支持したいというのなら、そう言えばいい。言葉だけでごまかすのは一番良くない」と厳しく批判した。
また菅代表は、24日に内定した日本銀行総裁・副総裁の人事についても言及。大蔵省事務次官出身の武藤敏郎氏をまず副総裁に抜擢し、その後、一時民間人を検討しながらも、財務省の意を受けて日銀出身の福井俊彦氏を総裁に据えるという小泉首相の人事決定の経過を取り上げ、「小泉政権が大蔵=財務省政権であり、その支えがないと何も動かせないということがはっきりした」と断じた。また、福井氏について「参考人として国会に出てきてもらって、考え方や日銀を辞めた経緯など、きちっと国民に説明してもらう。与党はそれを邪魔するべきではない」と述べた。
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