民主党の菅直人代表26日、日本記者クラブで講演し、小泉首相の政治姿勢、2003年度政府予算案と民主党予算案とのちがい、イラク・北朝鮮問題などをめぐり、民主党の考えを明らかにした。
菅代表はまず、小泉首相と論戦を戦わせた衆院予算委員会での質疑を振り返り、「公約を守れなかったのはたいしたことではない」という総理の発言について「丁々発止のやりとりのなかで、つい本音が出たのだろう」と言及した。その上で菅代表は、予算委員会での質疑を通じて2003年度民主党予算案を提示できたことの意義は大きいとの考えを示した。民主党予算案の規模は政府案と同じ81.8兆円で、一般歳出も政府案と同じ47.6兆円だが、公共事業の見直しなどで8.8兆円の財源を生み出し、これを100万人の雇用創出に重点配分した予算となっていることを明らかにした。また、地方への一括交付金を創設し、これによって地域が個性あるまちづくりに取組むことができるようにしている点にも触れ、「将来的には財源そのものを地方に移していきたい」との考えを述べた。
また、大島農水相、小泉首相自身の疑惑、そして名古屋刑務所をめぐる法務省と森山法相の対応などをめぐり、「民主党がスキャンダル国会にしたいわけではないが、放置できない」と問題視し、参考人招致・集中審議などを通じて、追及していく方針を明らかにした。
北朝鮮をめぐる問題については、先日、訪韓した折の印象をふまえて「戦争回避を第一義において対応したいというのが韓国の盧武鉉新大統領、金大中前大統領の共通の考えだ」との見方を示した。また、米国のイラクへの対応をめぐっては、「ぎりぎりのところまで言うべきことは言う」として、新たな国連安保理決議がない武力行使には反対していく方針であることを明らかにした。
日銀総裁人事をめぐっては、「サプライズのなかった人事と言われるが私にとっては驚きだった」とし、武藤敏郎前財務事務次官が副総裁に就任したことについて「小泉内閣は結局、大蔵省・財務省におんぶにだっこの政権であることを天下に明らかにした」と指摘。従来は民間人を採用することで期待感をつないできたが、今後は期待も乏しいとした。
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