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2006/06/01
【衆院教育特】鳩山幹事長、教育基本法改正の基本理念質す
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 衆議院教育基本法特別委員会で1日、民主党提出の「日本国教育基本法案」および政府提出の「教育基本法案」の質疑が行われ、民主党・無所属クラブを代表して鳩山由紀夫幹事長が質問に立ち、法整備に向けた基本的理念等に関して小泉首相らに質した。
 
 鳩山幹事長はまず、政府案はどのくらいの期間通用することを目指すものか質問。首相は「現行教育基本法が成立してから60年だ」としたうえで、それに順ずる期間通用するものを目指すとの意向を示した。そうした答弁をふまえて鳩山幹事長は、「教育基本法は憲法の附属法だと思っている」と述べ、憲法改正と教育基本法改正の議論は、ある意味で結びついた議論であるとの認識を示すとともに、教育基本法の改正議論も必要だが憲法改正の議論こそ先行すべきと指摘。家族の大切さを盛り込んだり、国内外での援助活動に尽力しながら憲法に明記されていない自衛隊の位置づけを明記したり、憲法改正の必要性が指摘される点が多々あることを列挙したうえで、重ねて憲法改正を先行すべきとの考えを強調した。なぜ教育基本法の議論が今なのか疑問だとして、憲法改正後でも充分のはずとの指摘に首相は「憲法改正は必要だと思うが、憲法改正しなければ教育基本法の議論はしないというのには賛同しかねる」と答弁した。

 小坂文部科学大臣は児童をめぐる犯罪の増加や教育環境の変化など、昭和22年に成立した教育基本法では対応しきれないものが出てきた現状を踏まえ、法改正の必要性が出てきたと説明し、「憲法と教育基本法は密接に関連するものだが、現行憲法のもとで出てきた教育をめぐる課題に対し、教育の根本的な理念を明確にするために改正する」と述べた。同時に、憲法改正によって必要が生じた場合には成立した教育基本法改正法に再度修正を加える可能性があるとした。こうした答弁を受けて鳩山幹事長は、「50年以上もたせる」とした首相答弁との矛盾を指摘。「まず、教育基本法を換え、憲法を変えた時点でまた修正することもあり得るというのでは二度手間ではないか」と述べ、拙速に法改正を行うのではなく憲法議論を踏まえるとともに、国民的議論を巻き起こした上で教育を考えるべきだと重ねて主張した。

 憲法に家族の在り方を明記するからにはそれを踏まえて教育を議論すべきであり、教育を受ける権利についても「すべての国民」だけを対象にするのではなく、民主党案にあるように海外からの移住者等も含めて「何人に対しても」保障するものでなければならないと、鳩山幹事長は改めて問題提起した。「そうした点は本来、憲法の改正の議論のなかで、改正すべき。そこを踏まえて教育の議論に入るべきだ」と重ねて語った。
 
 小泉首相はそうした議論をめぐって、「憲法も重要であるが、イギリスのように憲法でなくてもいろいろな政治制度をつくって対応できることはある」などとあきれた答弁。これには鳩山幹事長も「憲法がなくてもできることがある」とは、法治国家にあるまじき認識だとして苦言を呈するとともに、「国の礎となる重要な議論。くどいようだが、順序を間違えると国の将来を危うくする」として、政府の姿勢を重ねて問題視した。

 この点について小坂文科相は「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」とする憲法を受けて、政府案では「すべての国民は」としたと説明。憲法で「何人も」と書きこむことになれば教育基本法も変更することになるとの認識を示した。鳩山幹事長は「二人の考え方を合わせていただきたい」と述べて、首相と担当大臣である文科相の認識を一致させるべきとした。
 
 鳩山幹事長はまた、教育基本法の議論の前に議論しなければならないこととして、子どもの教育云々の前に、正さなければならないのは大人の方ではないかとして、首相の認識を質した。「教育の問題も大人の責任が大きいと思う」と首相は言い放つだけだったが、そうした大人の責任・大人の教育に関する議論こそが政府案には抜け落ちており、実効性のある大人を正す教育の道筋は何ら期待できないことを問題視した。
 
 鳩山幹事長はさらに、昭和21年の4月7日、戦後初の総選挙の折に日本自由党総裁だった祖父の鳩山一郎元首相の放送用原稿を提示。「自由主義は民主主義の骨組みであって、自由主義とはなすべきことをなしうるの自由、あわせてなすべからざることをなさざるの自由があると述べ、自由主義は何でもやっていいのではないと論じている」と鳩山幹事長は述べ、真の自由主義は自己の人格の尊厳に目覚めるしかないと語っていると説明。同時に、「両親がデモクラシーの基礎をなす相互に人格を尊重する有様を日夜目にしていれば子どもは立派に育って行く」とも放送用原稿に記されていると紹介したうえで、鳩山幹事長は教育力は自由主義や民主主義を政治のなかで本気で培養していくことが最高の教育であるとの見方を示し、政治の責任の重要性を改めて指摘した。さらには、「与野党が全く別の議論をするというものではないはず」と述べ、議論を深め、よりいい教育基本法整備に向けて調査会等を設置して与野党で協議して行くべきと問題提起した。

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