民主党の五十嵐文彦議員は24日、衆議院予算委員会で民主党の2番手として質問に立ち、大島農水相前秘書官の口利き疑惑、中小企業を苦しめているヤミ金融問題、不良債権処理の加速策などについて1時間にわたって小泉首相、竹中金融担当相、大島農水相らの見解を質した。
口利き疑惑問題については、宮内前秘書官の金銭収受疑惑の発端となった世田谷区の自宅購入をめぐって、その支出額と資金の出所に関する調査結果の報告を大島農水相に求めた。農水相は、支出額が前秘書官の自宅購入費1億1000万円、売却したマンションの繰り上げ返済1160万円など計1億2946万円である一方、その出所として判明しているのは銀行預金や実母の贈与などから頭金に充てた5150万円、ローン7100万円の計1億2250万円で、690万円の出所が不明であるが、口利きでの金銭授受は否定していると報告。農水相はまた、前秘書官が業者の紹介を行ったこと、「前秘書官に口利き料として現金を渡した」と証言しているコンサルタント会社役員と証言通りの日に料亭で会ったことは認めた。
五十嵐議員は、「なお辻褄が合わない部分が多々ある。サラリーマンに過ぎない秘書に3000万円の預貯金、7000万円のローンというのも疑問。恒常的に口利き収入でもなければ、とても組めないローンだ」とし、宮内前秘書官側から提出された預金通帳などの資料一式を予算委員会に提出するよう求め、大島農水相もこれを受け入れた。
不良債権処理問題について五十嵐議員は、民主党ネクストキャビネットの金融担当相として独自に金融再生ファイナルプランや中小企業金融円滑化のための金融アセスメント法制定などを提案してきた立場から、これまでの地価上昇頼みの「牛のヨダレ方式」の不良債権処理策が不良企業への債権放棄と中小企業からの貸し剥がしを引き起こしてきたと指摘。竹中金融担当相に対しても、「『中小企業に対しては、ダブルスタンダードで守ります』と表明し、きちんとセーフティーネットを準備して不良債権処理の加速策に取り組めば、決してパニックにならない。皆つぶれるんだという騒ぎになっているが、あなたがきちんと説明せずにパニックに陥れているのだ」と強く批判した。
五十嵐議員はさらに、主要銀行がいまだに約束した中小企業向け貸し出し額を大幅に下回る貸し出し実績であること、平均7500万円の役員退職慰労金を支払っていることなどの資料を示し、「人に犠牲を強いて、自分たちはリストラをサボっている」と批判、「思い切って公的資金を注入しながらリストラをさせ、製造業や外資で学んだ若手など、土地担保に頼らない融資システムを身につけた新しい経営者を入れなければ、日本の金融はよみがえらない」と力説した。竹中金融担当相もこれにうなずき、「重要な指摘をいただいた」などと答えた。
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