11日午前、参議院予算委員会で「政治とカネ」をめぐる集中審議が行われ、福山哲郎、櫻井充両議員が民主党・新緑風会を代表して質問を行った。
福山議員は冒頭、昨年の3月7日に同委員会で鈴木宗男衆議院議員を追及し、今年の同日には坂井隆憲衆院議員が政治資金規正法違反容疑で逮捕されるに至り、そして自民党長崎県連の事件、大島農水相の疑惑など政治とカネをめぐる問題が続いていると問題提起。何ら変わらない自民党体質に対してどんな手立てを打ってきたのか、と小泉首相に質した。
これに対して小泉首相は「野党の立場で私を批判するのは結構だが」などと開き直り、今までの事件で法改正は進んでいるなどと答弁。「法律を守れということ。法律を守らない人がいるから犯罪が起きて逮捕されるのだ」とまで言い放つ無責任ぶりだった。
福山議員は大島農水相の新たな献金疑惑を追及。元秘書による献金着服疑惑が指摘されている2000年に、大島理森後援会、経済社会開発研究会の2つの政治団体が、研修会をそれぞれ3回と2回連続して開催し、その収益として、各200万円ずつ計1000万円計上している問題を取り上げ、「研修会の中身、参加人数、参加者の構成はどうなっていたか」として、大島農水相に答弁を求めた。農水相は、「よく覚えていないが参加者は数十人」「時間は夕方ごろだったと思うが定かでない」「参加者の名簿がないので答えられない」「会費は確か1〜2万円」などと、極めてあいまいな答弁に終始した。
福山議員は納得せず、「わずか2週間の間に5回も研修会を開催し、毎回の収入はぴったり200万円。それが5回も連続して発生するなど、通常では考えられない。しかもその経費として報告書に記載されているのはわずか十数万円。1000万円もの多額の収入に対し、こんないい加減な報告では誰も納得しない。厳しい経済状況に国民が苦労している中、政治家への信頼がますます失われる」として、厳しく追及した。
しかし農水相は「収入がきっちり200万円だったのは、結果としてそうなっただけ」「会費を払った人で、研修会に参加しなかった人も多数いる」などと答弁した。福山議員は会計責任者でもある元秘書の仕事ぶりは緻密で、2000年以外の収支報告は収入も支出も円単位まできっちり記録されている点を指摘し、作為的な記載としか考えられないと指弾した。
福山議員は、会計責任者でもある元秘書の参考人招致を求めるとともに、「こんなことでは農水行政はできない。農水相には辞めていただき国民に信頼される方に代わっていただくべき」として、大島農水相の解任を小泉首相に迫った。
続いて質問に立った櫻井議員は、「今の(福山議員に対する大島農水相の)答弁で疑惑は晴れたと思うか」と小泉首相に感想を求めた。小泉首相は「大島農水相はよく説明すべきだ」と答え、答弁の不十分さを事実上認めた。
櫻井議員はまた、小泉首相の後援会組織である「小泉純一郎同志会」の収支報告書を調査した結果を踏まえ、「不透明な資金の流れがいっぱいある。(家賃や世論調査費の名目で)家族などにお金が流れているのではないか」と質した。小泉首相は、「政治活動には目に見える部分と見えない部分とがあるが、法律に則ってやっている」と気色ばんだ。
櫻井議員は、衆院予算委で民主党の長妻昭議員が取り上げた小泉ファミリー企業の口利き疑惑についても言及。「疑惑を持たれるようなことはないと言うなら、(ファミリー企業が日立金属に出した)領収証はどういう名目で、契約書の内容はどうなっているのか」と小泉首相に迫り、予算委員会に資料を提出するよう求めた。
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