民主党・新緑風会の円より子議員は14日、参議院予算委員会で質問に立ち、株安・デフレ不況、消費税、年金などについて閣僚に質した。
円議員はまず、現在進行している株価の急落をめぐって質問。株安によって、大手銀行が強引に進めている自己資本増強も帳消しになるのではないかとし、経済界、中小企業、個人消費にもたらす影響についての認識を質した。しかし竹中金融・経済財政担当相は、株安は銀行の自己資本に影響を与えるほどの規模でないと答弁。さらに、株価低落は世界的な動きだとし、「日本は外国に比べたら軽微で済んでいる」などと驚くほどのんきな認識を吐露した。塩川財務相も「日本経済のファンダメンタルズ、潜在的能力は落ち込んでいない」として、企業への深刻な影響を否定した。円議員は、デフレ克服についての政府の認識が甘いとし、株安と円高の進行がとくに中小企業などを圧迫していると指摘。当面はデフレ克服に全力を傾注し、しかる後に不良債権処理、財政規律確立へ進むというプロセスを段階的に10年かけて実行すべきだという政策ビジョンを、あらためて提示した。
次に円議員は、株安下での年金資金運用について質問。平成12年度から14年度上半期までで年金資金の株式運用ですでに6兆7千億円もの損失が出ていることを明らかにし、「国民の資金を株にこれほど投資するのはどうか」と疑問を呈した。しかし、塩川財務相は「デフレだからといって全面禁止してはいけない。慎重な投資が必要」とし、坂口厚労相も「当面は現在の延長線上で」などと述べるにとどまった。
また円議員は、政府が消費税の内税化方針を打ち出していることを取り上げ、「税を引き上げるために消費者の負担感、痛税感をそらそうとするものだと国民は見ている」と指摘した。塩川財務相、小林副財務相は「(内税化は)手持ちのお金で買えるのかが一目でわかるようにするため」などと述べ、消費者の利便性を高めるための価格表示の変更だと説明。しかし円議員は、消費者にとっては税のあり方が不透明になり、業界にとっては表示の変更による大きな費用支出が強制されることを明らかにし、「今は、むしろ税を下げるくらいのことが必要」と述べて内税化の撤回を求めた。
円議員はさらに、女性の雇用と税制をめぐる問題の中で特別配偶者控除の廃止について取り上げ、その趣旨を質した。小林副財務相は「税の歪みを是正するため」などとしたが、円議員は、女性の失業率が高まっている中で、家事や育児などのアンペイドワークと仕事との両立を支援する仕組みがないまま控除をなくすのは、家計に負担を強いるだけであることを指摘した。
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