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2002/10/30
【党首討論】不良債権処理加速策などめぐって議論
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 衆議院国家基本政策委員会で30日、党首討論が行われ、民主党・鳩山由紀夫代表、共産党・志位和夫委員長、社民党・土井たか子党首がそれぞれ小泉首相と論戦した。鳩山代表と小泉首相の討論の概要は次の通り。

     ◇     ◇     ◇

鳩山 同僚の石井議員が暴漢に襲われ亡くなったことについて、暴力を憎み、心から石井議員の冥福を皆様とともに祈りたい。世相がひどくなっているなかで、暴力も生じている。小泉内閣の大きな責任で解決すべき問題だ。さて、代表質問でも申し上げたが、小泉総理は「構造改革なくして景気回復なし」とたびたび言っているが、なぜそうなのか、必ずしも十分な答弁がない。

小泉 言論や政治活動を暴力で封じる行為に強い憤りを感じる。ご冥福を祈る。石井議員は、鋭い口調で熱心に質疑をされていただけに、とても残念だ。「構造改革なくして成長なし」についてだが、わが国では、長年にわたり財政・金融政策でできるだけの手を打ってきたが、なかなか景気が回復しない。これはやはり、構造問題、つまり今まで成功してきた制度が、これからの時代には機能しなくなっているということだ。

鳩山 なぜそれで経済がよくなるのか、見えてこない。本論に入るが、政府は今日、総合デフレ対策を出すと聞いている。銀行への公的資金の投入も辞さないと言うが、不良債権はどれくらいあるのか。

小泉 14年3月期に9.2兆円の不良債権を処理したが、残高は43.2兆円で、前年よりも9.6兆円増加している。

鳩山 どれくらいの公的資金を投入することになるのか。

小泉 まず公的資金投入ありきという考えはとっていない。厳格な査定と引き当て、経営体質の健全化などについて十分見極め、それで投入なしでは無理だというなら投入を考える。

鳩山 明確な答弁をいただけないが、国民の税金を投入するということまでやると決めたのなら、国民への説明責任がある。竹中大臣の最初の案が、自民党や銀行の言いなりになって、どんどん骨抜きになっているのではないか。特に、経営責任の追及、経営者の更迭の話が消えてしまった。公的資金投入にあたり、経営責任の厳しい追及は当然行うのか。

小泉 民主党も含め不良債権処理を早くという主張がある一方、与野党の中には、あまり急ぐと倒産や失業が増えるという議論もある。不良債権処理を加速する過程で、無用の不安や混乱を起こさないようにどういう手だてが必要か、各方面に聞いているところだ。しかし、腹を決めてやるべきことはやる。経営者のしかるべき責任は、あるという観点からなされるべき。

鳩山 聞きたいのは、なぜ「経営責任の追及」が文言として消えたのかということだ。「厳しい経営責任の追及はしないから、公的資金を受け入れてほしい」という話に聞こえる。

小泉 今晩には基本的な方針を出せるようにする。しかるべき責任追及はなされるべきだ。常識的な線で責任を問うのは当然と思っている。

鳩山 あいまいではあるが、経営責任の追及は行うと明言されたので、期待する。不良債権処理の加速は、民主党が4年前から言っていることだ。4年たって、セーフティーネットの整備、企業再生、中小企業対策など、さらに大きな対策が必要になってしまった。もっと早くやっていれば、ここまでにはならなかった。このような対策を講じるには、予算措置も必要だ。民主党は、予算の組み替えを要求してきた。小泉首相としては、予算措置を臨時国会に提出するのか。

小泉 臨時国会では出す考えはない。現在は14年度の本予算を執行中だ。

鳩山 もっとスピードが求められている。遅きに失している。小泉内閣のもとで、もう8本目か9本目の対策だが、対策ペーパーを書くだけでいいのか。通常国会には出すのか。

小泉 すぐに予算を組んだから、すぐに解決するというものではない。14年度予算のなかで、改革すべきは改革している。今後、税収動向や経済状況も見ながら、必要な対策については大胆かつ柔軟に対応していきたい。

鳩山 その「大胆かつ柔軟に対応」という表現もだいぶ使われているが、要するに通常国会には出されるものと受け止める。現在の中小企業などの生の声を聞くことが大変重要だ。臨時国会では対策のペーパーだけというのでは、彼らは泣いてしまう。

小泉 厳しい状況が続いているのは事実だ。14年度予算でも、雇用対策、中小企業対策などを打っている。その面で手当てできるものもあるし、できないものは、今後どうするか作業を進めている。困難な状況に負けず前向きに取り組んで行ける企業と、そうではない企業がある。やっていける企業、再建できる企業については、意欲を持って立ち向かって行けるような対策を考えなくてはならない。

鳩山 1秒を争っている状況で「作業中」と聞いたらがっかりする。今こそ具体的な施策を打ち出すべきとき。生の声をもっと聞いてほしい。ペイオフ、国債30兆円枠、特定財源見直し、「1内閣1閣僚」など、小泉内閣の公約はドミノ倒し状態だ。「小泉ドミノ倒し内閣」と呼ぶべきだ。大変深刻に考えている。北朝鮮との国交正常化交渉が始まった。5名の拉致被害者が戻られたことは、「総理よくやった」と率直に感謝するが、拉致問題や核開発問題の解決なくして正常化をしてはいけない。日朝首脳会談時の初動が甘かったと言わざるを得ない。総理は、「拉致問題の全面解決なくして国交正常化はない」と言い切ったが、「全面解決」とは何を指すのか。

小泉 「初動が遅れた」との指摘は納得できない。鳩山代表は「時期尚早だ」と言っていたが、私は踏み切った。訪朝し、日本の主張は全部盛り込んだ上で、これが実現するなら国交を正常化しようということだ。交渉の中でしか解決はない。どこまでいったら解決かということについては、家族や本人の希望がかなうよう努力する。日朝交渉は、過去・現在・将来を総合的に交渉しなければ始まらない。

鳩山 ごまかしてはいけない。私は「初動が甘い」と申し上げた。会談の30分前に死亡を聞かされた、核開発で米朝合意違反があることが分かっていた、宣言に「拉致」という言葉が出てこない、などだ。金正男氏が偽造旅券を持っていたにもかかわらず、わざわざ特別機で送り返したこともあった。そのときにきちんとしていれば、拉致事件はもっと早く解決していたかもしれない。

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