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2003/03/19
【党首討論】イラク問題で説明責任を果たさない首相を追及
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民主党の菅直人代表は19日、フセイン大統領と2人の息子に48時間以内の国外退去を求めた米国の最後通告の期限が目前に迫る中、小泉首相との党首討論に臨んだ。討論では、緊迫するイラク情勢への対応、および北朝鮮問題をめぐって、およそ20分間のやりとりがなされた。要旨は以下の通り。

菅 昨日10時のブッシュ大統領の演説は全世界の人々、全国民にとって、世界が曲がり角にあることをいやというほど知らしめた。演説のなかに「国連安保理が責任を果たしていないから、自分たちが代わって行動するのだ」という発言があった。確かにフセイン政権が大量破壊兵器をまだ隠しているのではないかという疑問を私も持っている。しかし、だからこそ民主党は、さらなる査察の必要性を主張しているわけだ。国連の多くの国々の意見を無視して、また新たな決議は採択されそうにないから、行動を起こすというブッシュ大統領の発言は、ある意味で国連を否定したとも受け取められかねない。新たな国連決議がないままでの武力行使には反対すべきだというのが民主党の一貫した姿勢だが、なぜ、総理は充分な説明もなく、米国を支持することにしたのか。国民に説明していただきたい。

小泉 まず、国連決議を無視し続けてきたのはイラクだということを忘れてはならない。12年間以上にわたって、何回も決議を無視し続けてきた。これに対して、国際社会は結束して対応しなければならない。イラクの協力が不十分だったということでは、国際社会(の意見は)一致している。昨年11月に最後の機会をイラクに与え、この決議をいかに実行させるかについて、国際社会は努力をはかってきたが、再度の機会をイラクは軽視し続けた。これを守らなければ武力行使も辞さないと、米国はじめイギリス等が軍事的圧力をかけてきた。そういう意味において、イラクはあまりにも国連の決議を無視し続け、国際社会の一致結束した意向を甘く見すぎたのでないか。そういう意味において、米国の主張に理解を示し、支持している。あとわずかであるが、イラクが全面的に協力すれば、平和的解決は期待できるけれども、その可能性は極めて小さい。今日はいい機会だから、国家の基本問題にかかわることだが、先月、仙台市の集会での菅さんの発言も取り上げる。ブッシュ政権は危険な政権だ。同時多発テロでアフガニスタンを攻撃、次はイラク、場合によっては次は北朝鮮だ。ずっと戦争をやっていれば大統領選挙は勝てる、イラクの石油利権を握りたいという思惑も見えると語ったと朝日新聞に報道されているが本当か。

菅 今日は総理が元気がよくて、なかなか結構。ただ、質問にはきちんと応えるから、私の質問にも答えてほしい。イラクが充分に協力していないことは私もその通りだと思うが、だからと言って、国連安保理事国の9カ国の賛成が得られない決議案を取り下げ、「安保理が責任を果たさないから自らが勝手にやるんだ」という行動・考え方に対して(総理が)支持するのはどういう理由かを聞いているのだ。私が仙台で発言した趣旨は、日米関係そのものを否定してもいないし、その信頼関係の重要性を否定してもいない。ただ、ブッシュ政権はクリントン政権を全部ダメだというように、その姿勢はやや危険なところがあるとの個人的感想を申し上げた。日米関係がどうなってもいいなどと申し上げていない。逆に、総理にもう一度明確に聞く。米国に賛成するのか。少しやりすぎと思わないのか。

小泉 私ははっきり答えている。アメリカは国連決議を無視していない。法的に、昨年11月の1441の決議、あるいは一連の678、687、これによって米国の声明は国連決議を無視していない。国連憲章にも違反していない。

菅 川口外相は答弁のなかで1441は武力行使の理由にならないとはっきり述べられている。それから678、687は、12年前のイラクのクウェート侵攻を行ったときの決議で、米国同時多発テロ後の決議ではない。いま問題になっているのは、米国同時多発テロ後、テロ組織に大量破壊兵器が渡るのではないかという議論があるなかで、その二つの決議は時期的にもズレがあるため、新たな決議があることが望ましいということになったのでないか。総理自身も言ったではないか。国連憲章第7章によれば、一般的には国連の要請に応えて行動するものだ。今回の米国の行動は国連の要請があっての行動か。

小泉 私は確かに新しい決議がある方が望ましいと言った。しかし、法的根拠を問われたから、1441、678、687の一連の決議で、アメリカの武力行使は法的根拠はあると理解を示し、支持を表明した。この問題に関して、確かに違った見解を示している国があることも承知している。米国同時多発テロ以降、戦争、テロ行為、大量破壊兵器等に対する世界の観念は変わった。世界の情勢の変化は見極めなければならないが、過去の決議を無視し続けてきたイラクの姿勢を問わなければならない。過去の決議はどうでもいいということとは違うのではないか。協力してこなかったイラクにこそ問題がある。安全保障、、大量破壊兵器の脅威、日米同盟の重要性を考える上でも、重い大きな問題だと思う。

菅 総理も認められた通り、今回の米国の行動は国連憲章に違反すると主張する国もある。アナン事務総長さえ、今回の行動は正当性に疑問があると明言している。何度も言うが、イラクが大量破壊兵器をもっと早く破棄すべきだったのは当然だが、更なる査察の継続によって平和的な解決がありうるこの段階で、その道を一方的に閉ざして、米国が軍事的行動に踏み切る決定は国連の考え方に照らしておかしいと言っておきたい。

菅 日朝平壌宣言に関して福田官房長官が廃棄もありうるとの答弁を昨日の予算委員会や本日の記者会見でされている。ということは、9月の日朝首脳会談は失敗だったと認めたことになると思うが、総理も同じ見解か。

小泉 そんなことは言っていないと思う。日朝平壌宣言は政治文書として重い文書だと思っている。宣言は有効。なおかつ北朝鮮との国交正常化交渉にむけて、これを誠実に実行に移す。北朝鮮側も成果だと認めている。今後とも実施に向け努力を続けていかなければいけない。北朝鮮側も誠実に守ってもらえるように働きかけていくことが重要。

菅 官房長官が言っていることを総理が知らなかったというのが驚き。私が総理の立場であれば、イラクの問題についても、こういうギリギリの段階になるまで「その時点になるまで答えられない」の一点張りではなく、国会で自らの考えをきちんと示すべきだった。何一つ説明せずに、最後の最後になって、事実上、米国の単なる追従の理屈しか説明しないのは、国民に対する説明不足だ。国会できちんと説明すべきだった。日朝問題についても、日米韓の間で共通の提案をきちんとしたらどうかと予算委員会で私は申し上げたが、総理はすべて、丸投げ、投げやりで、何一つ国民に説明し、説得していない。ブレア・イギリス首相やシラク・フランス大統領が立場はちがうが、明確に国民にメッセージを送っているのと比べると、あまりにも情けない。

小泉 そのときどきできちんと説明している。今日の党首討論でもはっきりと日本の立場を説明した。時期が来れば国会でも説明する。(野党と)意見が違うと説明していないというのは勝手すぎるのではないか。

菅 国民のみなさんが一番よくお分かりだと思う。昨日、ブッシュ大統領の最後通告があったあと、13時から衆議院本会議が開かれているのにインタビューを受け、そのときに初めて米国支持を明らかにした。それ以前に支持するという言葉を示したとすれば、いつ言ったのか。少なくとも私が先週の党首会談で「新たな国連決議がないまま攻撃がある場合、賛成するか」と聞いたところ、「その時点にならないとわからない」と言ったではないか。無責任な態度を続けてきて、前から態度を明確にしてきたと発言をするのは国民を欺くことだ。

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