1日午後、衆院本会議において枝野幸男衆院議員(憲法調査会長)が民主党提出の「日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案」(国民投票法案)の趣旨説明を行った。本法案は、憲法96条に規定する憲法改正国民投票の手続に合わせて国政における重要問題についての諮問的国民投票の手続を定め、さらにそれぞれの発議の手続を定めたものである。同時に、憲法改正国民投票およびその発議手続のみを定めた自民党・公明党共同提案の「国民投票法案」の趣旨説明も行われた。
枝野議員は、国民投票の具体的手続は本来1946年の憲法改正と同時に整備されるべきものだったが、その後は憲法改正そのものの是非論とからめて議論されてきたため、今日まで整備されなかったとした。そして、憲法は主権者たる国民が国家の公的機関に権力の行使を委託し、かつ公権力行使の基本ルールを定めるものなので、主権者自らがその改正の是非を直接判断する国民投票の制度が必要であると述べた。それを中立公正な手続とするためには憲法そのものの改正論議とは切り離すことが不可欠であるとし、具体的な改憲案を持つ政党や一切の改憲に反対する政党ではなく、民主党の議論が軸にならざるを得ないと述べた。
また枝野議員は、憲法改正ではない重要な国政問題に関する国民投票の手続を合わせて設ける必要性について、憲法では国会が国権の最高機関であり間接民主制を採用していることを尊重しつつも、国会が自らの意思で重要な国政問題について国民の意思を問うことは、憲法の趣旨にかなうものだと述べた。
枝野議員は、本法案の主な内容について、次のように説明した。
(1)国民投票の投票年齢は、現在20歳である選挙権年齢などに先行して、18歳とすること。これは、日本の未来により長期にわたって関わっていく若い世代に、可能な限り決定に参加する機会を与えるためである。
(2)国民投票の投票用紙には改正を承認する場合に○を記載し、記載しなかった場合は承認しなかったものとすること。これは、わざわざ投票所にまで足を運びながら○を記載しなかった場合には、承認の意思がなかったと判断されるからである。
(3)国民投票に向けての運動である国民投票運動については、投票事務に関与する公務員に限って規制するとともに、買収罪などは設けないこと。これは、憲法改正に関する政治的意見表明が萎縮することにないようにするためである。
さらに枝野議員は、憲法改正手続の公正さは国会議員の権限行使の正当性の根拠となるものであるとし、国民投票法案は新憲法成立後に審議された法案の中で最重要のものであることを強調して、公正公平かつ謙虚に法案審議に臨むことを求めた。
加えて枝野議員は、本法案は「改憲への一里塚」ではないこと、また国民投票手続によって改憲を否決することも出来ることを指摘した。そして、十分に時間をかけて全会一致で制定されるべきだとし、民主党の責任の重さを自覚すると述べて、説明を終えた。
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