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2002/11/01
【衆院外務委】日朝交渉方針のあいまいさを厳しく批判
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 衆議院外務委員会での1日の質疑で、民主党の伊藤英成、金子善次郎、中川正春の各議員が質問に立ち、日朝国交正常化交渉への政府の取り組みの問題点について質した。

 始めに質問に立った伊藤議員は、日本に帰国中の5名の拉致被害者を一旦北朝鮮に戻さないのは「約束違反だ」と北朝鮮から非難されていることについて、「拉致被害者を2週間程度で戻すという約束があったのか。どのようなやりとりが両国の政府間にあったのか」と質した。

 川口外相は、5名の帰国に向けた北朝鮮側との打ち合わせで「1〜2週間」との確認があったものの、帰国後、家族を含めて自由な意思決定ができる環境をつくるために家族全員の帰国が不可欠だと判断した、と経過を説明、「5名が帰国した当時とは事情が変わってきた」と述べた。これに対して伊藤議員は、「原則をしっかり持って交渉してもらわなければ困る」と苦言を呈した。

 また伊藤議員は、国交正常化交渉の次回の本会議開催を受け入れる条件は何か、と質問。川口外相は「先方の対応状況とこちらの展開で決まってくる」などとし、「5名の帰国問題が解決しなければ次回はやらないと言っていたではないか」という伊藤議員の追及に対しても、「解決しないと交渉しないとは言っていない」とするなど、交渉方針のあいまいさを自己暴露した。

 さらに伊藤議員は、9月17日の日朝首脳会談の前に首相が北朝鮮のウラン濃縮計画に関する情報を米国から受けていたことをめぐって質問。日朝平壌宣言に「双方は、核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した」という文言があるが、北朝鮮は今も遵守しているという認識か、と質した。川口外相は、「署名することによって遵守させる、ということ」などとごまかし、「首脳会談では核開発情報の真偽を金正日氏に問い質したのか」という追及にも「(1994年に米国と北朝鮮が署名した)『合意された枠組み』を遵守するよう求めた」などと答弁。伊藤議員は「ようするに、『国際的合意』に違反していることを知っていて署名したということではないか」と厳しく批判した。

 金子議員は、原敕晃さんを拉致したとされる辛光洙(シンガンス)元服役囚の引き渡しと処分について交渉の中で触れたのか、と質問。これに対して、外務省アジア大洋州局の田中局長は「実行犯の具体的な情報を求めている。事実関係の解明を急ぎたい」とし、川口外相は「身柄の引き渡しは求めている」と答えた。

 中川議員は質問の冒頭、鈴木勝也・日朝国交正常化交渉担当大使の委員会出席を求めていたにもかかわらず、外務省が「田中局長がいるからいい」などとして拒否したことに抗議し、あらためて鈴木大使の参考人招致を求めた。

 続いて中川議員は、日本側の交渉に臨むスタンスをもっとはっきりと北朝鮮側に表明すべきだと指摘。「拉致問題では5名の被害者の家族全員を日本に戻すこと、安全保障問題では核施設の査察を受け入れ、目に見える形で破壊すること、これらの条件が満たされない限り経済支援の交渉には入るべきではない。そうでないと、米国、韓国との足並みも揃わない」と明快に提起した。川口外相は、「米韓は交渉のチャネルの保持を重要視している」などとしたが、中川議員は「もっとはっきり“やれ”と迫るべきだ」と強く求めた。

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