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2002/11/06
【党首討論】総合デフレ対策をめぐり小泉首相と論戦
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 6日、参議院国家基本政策委員会で党首討論が行われ、民主党の鳩山由紀夫代表は、政府の総合デフレ対策などをめぐって小泉首相と論戦を展開した。討論の概要は次の通り。

鳩山 総合デフレ対策に、国民はある程度期待した。しかしその内容を見て、国民はがっかりした。市場もほとんど反応しなかった。なぜか? 第一に、不良債権処理に関しては、竹中案が銀行や自民党の圧力の前に後退し、加速なのか失速なのか全く見えないものとなってしまった。第二に、デフレ対策は予算措置もないものとなっている。税制改革も項目だけ並んでいるだけで、その具体的な内容が全く見えてこない。なぜこうなったかといえば、竹中金融・経済財政担当相に丸投げし、官僚の作文そのままである上に、自民党の抵抗勢力の前になすがままに軌道修正した結果、役に立たない総合デフレ対策になったのだ。

 民主党が考える具体的な政策を提示するので、総理自身の考えを聞かせてほしい。
 第1点目として、住宅ローン、教育ローンなどのために家計が厳しい状況にある国民に対し、1兆円規模で利子の減税を行い、家計負担を少しでも和らげ、そうした刺激策によって、消費の拡大を図ってはどうか。

小泉 政府でもそのような対策をやっている最中である。特に、教育ローンの話があったが、日本としては教育重視の姿勢に変わりはない。住宅ローンの問題も、配慮がなされている。消費刺激策については、税制改革は議論の真っ最中である。12月には結論を出して、15年度予算に反映させるという方針通り進んでいる。なおかつ、1兆円程度の対策を講じるようにとの指摘だが、昨年、30兆円枠を堅持して法律で縛れとまでいったのは鳩山さんではないか。1兆円を早く使えとは枠を外せということか。

鳩山 総理はすぐ話をすりかえられるから困る。30兆円枠の問題は予算の組み換えで十分に堅持できることをこれまでも申し上げてきた。歳出削減は余分なものを減らすことで十分にできる。それを小泉内閣は実行しないために、この問題で苦しみ続けているのだ。私が申し上げたいのはそんなことではない。高校・大学へ進みたいという方への奨学金が必ずしも十分ではない。さらに、住宅ローン・教育ローンで苦しんでいる方に対する減税を行うか否かを聞いているのだ。総理が極めて不十分なものをいつまでも続けているから、国民のみなさんが苦しんでばかりいるのだ。

 2点目の問題を伺いたい。1年間に3万人の方が自殺をされている。潜在的にはもっと多いと言われている。こうした大変な深刻な問題に対し、きちんと答えを政府は出さなければならない。自分が総理だったら、当然この問題にアタックする。自殺をしないでも新たな道に再チャレンジできるような機会を与えられる政府にしたい。生活がギリギリの状況になってしまっている方がいるのは、個人保証の問題に起因する。例えば、倒産したときに身ぐるみを剥ぐのではなく、3ヶ月程度の期間、再チャレンジのための費用の面倒をみるなどの政策があってもいいのではないか。自殺遺児の方々が出した手記集『自殺って言えなかった。』という本にも書かれているように、救いを求める人の多くは誰かにサインを送り、助けを求めている。私が政権を担当するなら、こういう声・サインを受けとめ、しっかりとした答えを政府として出す。総理、この問題に本気で取り組む気はあるか?

小泉 この問題に対しては、真剣に議論してきた。会社が倒産した場合、この責任の問題についてどこまで問うべきか。どのような救済の手を差し延べられるか。いろいろ議論している。民主党の考えも提案してもらえれば、検討し、いいものは政策に採り入れたい。

鳩山 こういう議論をしている間にも自殺をされる方もいるのだ。いつまでも「考えます」ではなく、民主党の提案どおり、個人保証の問題に対して活路を開くよう心から祈りたい。少なくとも民主党なら、一刻も早くこの問題を解決する。

 3点目の問題は証券税制である。キャピタルゲイン課税に関して総理は理解していないのではないか。小泉内閣になってから、株価は1万3000円から今日は9000円へと、4000円程度、3割も落ち込んでいる。130兆円もの国のロスを見過ごしていいはずはない。株価が下落しないように様々な戦略を練ってほしい。大きな解決策として千数百億円程度だといわれるキャピタルゲイン課税を、例えばドイツが行っているように、非課税にすればいいではないか。景気が回復するまでの時限でもいい。非課税にして市場の活性化を図るべきだ。

小泉 貯蓄から投資への証券税制にしようと方針を決め、使い勝手のいい簡素な税制をめぐる結論を今年中に出し、来年度の税制改正で実施すべく検討している。

鳩山 先ほども申し上げたように、総合デフレ対策に示された税制改革は、項目は並んでいるが、みんな「検討」「検討」で、これでは国民のみなさんは待っていられない。この間に株価が下がるだけの話だ。簡素なものをというのであれば、いちばん簡単なのは非課税にするだけだ。複雑な話ではない。

 最後に農業の話をしたい。農政は本来、農家の方々とわれわれ消費者に視点を当てたものでなければならないはず。ところが自民党農政は違った。農業土木中心の農政にしてしまった。これが政官業の癒着体質を招いてしまったのである。民主党は、自然の恵みに感謝できる、本来あるべき農業・農政を本気でつくり出していきたい。そのキーワードは「健康と環境」だと思う。自民党型の政官業癒着の農業が作り出したのはBSE問題だ。この問題はしっかりと見つめ直さなければならないにもかかわらず、食肉偽装事件までも起こってしまった。こうした問題が起こる隙を与えたのは農林族と農水省だと言わざるを得ない。さらに、食と安全の問題が疑われている中、大島農水相の秘書官の口利き問題が出てきた。疑惑に疑惑を重ねるような農水省で食と安全は守れるはずはない。私が総理なら、大島農水相には辞任を求める。

小泉 食と安全については不備な点はよく反省し、国民から信頼される農業・食の対策を行う。

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