衆院特殊法人改革特別委員会で11日、民主党の筒井信隆議員が生方幸夫議員の関連質疑を行い、前政務秘書官の口利き疑惑をめぐって大島農水相を追及した。
筒井議員は「こういう問題を起こす農水大臣のもとで、それをあやふやにしたまま、法案審議は行えない。(法案審議の)前提条件だ」と厳しい口調で指摘した上で、口利きの見返りに宮内前秘書官側に現金を渡したとされるコンサルタント会社社長A氏から直接聴取した情報を示して突っ込んだ議論を展開した。筒井議員はまず、A氏が宮内前秘書官に渡した金銭を記録したA氏直筆の一覧表を示し、「15回、計5500万円を前秘書に渡したと書かれてある。この事実をこれまで(農水相は)全面否定しているが、改めてこのメモを前にし、今まで同様、全面的に否定するのか」と大島農水相に迫った。農水相は「前秘書官に問い質し、彼の報告に基づいて答えてきた。その報告からは金銭授受はないとしている」などとした。
筒井議員はさらに、一覧表の中で別会社に振り込んだとされている平成9年7月1日付けの500万円の送金について、「宮内氏からの指示をうけて振り込まれたものだが、その事実を知っているか。振込先は宮内氏の友人の会社だが事実を認めるか」と大島農水相を追及。農水相は、「前秘書官の学生時代の友人の会社だと聞いているが、資金援助を頼まれ、コンサルタント会社のA氏を紹介した。その後は両者間での了解のもとで金銭の貸借が行われたものであり、前秘書官は貸借の内容・金利期限等の報告は受けていないはずだ」と答弁。その後、現在に至るまで宮内氏とその友人とは連絡をとれない状況だとした。
筒井議員は「事実は違う。その友人の会社の役員に宮内氏は長年就いており、辞任後は宮内氏の妻が役員に就任。同級生の関係だけではない」と指摘。大島農水相はコンサルタント会社A氏が宮内氏の友人の会社に金を貸しただけとの認識を改めて示したが、「宮内氏がA氏に指示して振り込ませた」と明記されたその友人からの手紙を証拠資料として提示し、農水相の答弁のウソを厳しく追及。農水相は「(前秘書官の)報告に基づいてそう答弁したが、改めて示された資料に基づく改めての問いであれば、(前秘書官を)問い質すしかない」などと逃げの答弁に終始した。
筒井議員は「宮内氏がA氏に金を振り込ませた事実があることを事前通告したにもかかわらず、なぜ調べていないのか」と問い質し、そもそもこの疑惑に関する農水相の姿勢そのものについても「裏づけ調査をしているのか、それとも宮内氏の発言を鵜呑みにしているだけなのか」と厳しく批判した。
また筒井議員は、公共工事の受注企業などを集めて設立された任意団体から農水相が講演料20万円を数回にわたって受け取っていた問題にも言及。この団体「宮城の会」は前秘書官とコンサルタント会社社長A氏が会員を募って95年ごろに設立されたもの。農水相は仙台市内で開かれるパーティーにほぼ毎年出席し、講演料を受け取っていた。筒井議員はこの講演料収入が政治資金として適正に処理されていない事実を明らかにし、届け出義務違反を強く指弾した。
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