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2002/11/12
【衆院農水委】楢崎議員、有明海再生へ中・長期開門調査を要請
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 衆議院農水委員会において12日、有明海および八代海の再生に関する一般質疑が行われた。民主党の楢崎欣弥議員は「失って初めてどんなに大事なものかがわかる。それが諫早湾干潟だ。有明海異変の原因は複合的要因があるが、諫早湾干拓事業の影響は大きい」と指摘し、政府の責任を追及した。

 楢崎議員は、福岡県有明海漁連が長崎県諌早湾干拓事業の前面堤防の工事差し止めを国に求めた仮処分申請の第1回審尋(10月30日、福岡地裁)を取り上げ、国側が『ノリ不作の原因となった赤潮は大雨などの異常気象で発生した。干拓事業のためとは限定されていない。また、二枚貝などの減少は事業の開始前から始まっている。工事中止の求めについては、4月15日に農水大臣が有明海3県漁連会長・長崎県知事らと会談し、2006年に完成させるという方針を理解してもらっている』などと主張したことを問題にした。

 赤潮問題めぐって楢崎議員は、熊本県立大学教授ら専門家が1年にわたって調査したデータをもとに、「潮流の変化と深く関係している」と指摘。農水省の過去のデータと比較すると、潮流が以前よりも停滞していることが明らかになっており、「潮受け堤防ができたために潮流が遅くなり、赤潮発生の原因となる高濃度の栄養源を含む河川水が流入したまま、有明湾の奥部に溜まりやすくなっている。つまり、潮受け堤防がある限り、有明海の潮流速度低下が続き、植物性プランクトンが大量発生しやすくなり、大規模な赤潮発生が続く。そしてノリ不作に陥りやすくなる」と、そのメカニズムを説明した。

 楢崎議員はまた、ノリ不作の原因となった長命の珪藻プランクトン、リゾソレニアの発生について、秋に大雨が降り続いたあと、晴天が続き日照時間が長くなるなどの異常気象の影響だとした木下水産庁長官に対し、「これまでも大雨や日照時間が長かったことはある。熊本県水産研究センターによれば、調整池にリゾソレニアの栄養となる珪酸が含まれていて、それが有明海に排出されたためとされている」との調査結果を示し、水産庁長官の認識を否定した。

 さらに楢崎議員は、二枚貝の減少は海の再生力の低下によるものだとの認識を示し、同時に有明海異変はタイラギやアゲマキなどの底生生物に変化が見られることも問題視し、「漁民の声を真摯に聞くべきだ」と指摘。4月15日の有明海3県漁連会長らとの会合をもって理解を得たとする政府の認識そのものが誤りだと指摘した。

 楢崎議員は底質の悪化、底生生物の変化などが指摘されるなか、中・長期的開門調査の必要性を改めて指摘。調査までの間、全面工事ストップも必要不可欠だとし、政府案に反対する姿勢を改めて示した。大島農水相は、防災機能・優良農地確保の必要性などを今更ながらに述べ、「平成18年度の完成をめざして事業を進めるのが私の責務」などと繰り返し、中・長期的開門調査の実施については「現時点では言及する時期ではない」とあくまで明言を避けた。

 楢崎議員に続いて質問に立った津川祥吾議員は、前政務秘書官の口利き疑惑をめぐって、前秘書官からの報告を紹介するだけの大島農水相の姿勢を追及。農水相が自ら調査に動こうとしないのに対して、「農水相では真相究明できないということが明らかになった」と厳しく断じた。その上で津川議員は、前秘書官と口利きの見返りに宮内前秘書官に現金を渡したとされるコンサルタント会社社長A氏の委員会への参考人招致を求め、理事会で協議されることとなった。

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