鳩山由紀夫幹事長は2日午後、党本部で定例の記者会見を開催し、がん対策基本法成立への意気込みや、共謀罪をめぐる政府・与党の不誠実な対応などについてコメントした。
鳩山幹事長はまず、わが党の山本孝史参議院議員が本会議で成立を訴えた、がん対策基本法案について言及し、民主党案と与党案との間で、「できる限り法案を今国会で成立させようという熱意の下で努力をしている」と指摘。山本議員の渾身を振り絞った質問を聞いて、「やはり皆さんは心を打たれた」のではないかとして、患者の皆さん、家族の皆さん、関係者の皆さんのがんに対するたたかいに、政府が本腰を入れて支援できるよう、民主党として法案の成立を図っていくとの決意を力強く述べた。
共謀罪をめぐる昨夜からの動きについても鳩山幹事長は触れ、政府・与党が、「民主党の案に対して、今までは、これでは少なくとも国際条約を批准できる状況ではない」などと盛んに批判を繰り返していたことをまず指摘。自民党の細田国対委員長が、「一転して、(民主党案を)丸飲みして良いと昨日伝えてきた」ことについては、強い疑念を示しつつも、「国際的なテロを未然に防止することは重要だ」とし、国内の犯罪に幅広く適用されてしまう恐れなどのないよう配慮した民主党案の内容を改めて紹介した。
ところが昨夜になって、細田国対委員長が、「(民主党案を)丸飲みをして、訪米やサミットにお土産に持っていき、その後改正すればいいという話をしたとの報道」があったことを鳩山幹事長は指摘。細田国対委員長から、わが党の渡部恒三国対委員長に対して、そのような発言をした覚えはないとの電話があったものの、「多くの方がそれを耳にしている以上、かえってまた嘘の上塗りをしているとわれわれには思えてならない」と指摘し、「完全な信頼関係の失墜だ」と厳しい批判を加えた。
また、麻生外相が会見で、民主党案では国際条約を批准できないとはっきり発言していることや、同様の趣旨が質問主意書への回答でもなされていることと、細田発言との「この矛盾をどうするのか」と鳩山幹事長は厳しい口調で指摘。政府・与党の中で「完全な齟齬が生じている」というこんな状態で、「審議ができる状況ではない」と語った。また、今後の対応については渡部国対委員長に一任され、渡部国対委員長の采配で決していくとした。
鳩山幹事長は更に、7月14日に沖縄県で民主党の全国幹事長会議を開く予定であることも明らかにし、党員・サポーター募集についても、目標の25万人にはわずかに届かなかったものの、結果としておよそ24万5千人を集め、「ほぼ目的を達成することができた」ことを明らかにした。そして、こうした民主党の党員・サポーターの皆さんの「ご期待に応えられるよう」小沢代表の下、更に結束を固めて、秋の補欠選挙、来春の統一地方選挙、夏の参議院選挙で勝利し、「自公連立政権を必ず過半数割れに追い込む」との決意を力強く語った。
記者団から、共謀罪への対応に関する政府・与党の「普通では考えられない食い違い」について改めて問われた鳩山幹事長は、政府と与党が「混乱と矛盾を繰り返している」ことに改めて苦言を呈し、「総裁選に向けて気もそぞろ」であり、「もっと真面目にやれ、と言いたい」と批判を加えた。
また鳩山幹事長は、昨日の衆議院本会議でのいわゆる国民投票法案に関するわが党の枝野幸男衆院議員(党憲法調査会長)の趣旨説明において、どうせやる気がないだろう、などと、自民党の一期生議員、いわゆる小泉チルドレンが野次を盛んに飛ばしていたことについて問われ、「全く状況を知らない発言だ」と批判。質疑の後に自民党の船田元衆院議員らがむしろ、すまなかったと枝野議員に謝罪に来て、小泉チルドレンの議員には叱責をするという話も聞いていると指摘。民主党としては、一方的な改憲・護憲の議論に与するものではなく、中立・公正の立場から議論するのが正しいという意見の開陳を行ったことを強調しつつ、「不規則発言が聞かれる国会だからこそ国民投票法案が簡単に成立できない状況」になっており、「大変残念なことだと思っている」などと鳩山幹事長は述べた。その上で、「与党の、特に小泉チルドレンの皆さんには猛省を促したい」などと語った。
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