衆議院内閣委員会において21日、内閣提出の構造改革特別区域法案と民主党提出の修正案をめぐる質疑が行われた。
民主党の山内功議員が修正案の趣旨説明に立ち、「特区における特例措置の評価をきちんと行い、効果が上がったものは迅速に全国展開していく体制を確立しなければ、特区そのものが規制緩和・撤廃の動きを遅らせる隠れ蓑に使われかねない」と指摘。関係行政機関の長に対する調査・報告義務は盛り込まれているが首相のイニシアチブが明確でない点、特例措置が質量ともに不十分である上に特例事業の実施期間が明確でない点、規定の解釈について関係行政機関の長が回答する、いわゆるノーアクションレターの規定に不備がある点など、政府原案の問題点を列挙。「民主党は官から民へ、規制改革の流れを加速化する立場から修正案を提出する」とした。
修正案では第1に、構造改革特別区域基本方針に、構造改革の推進等の効果についての定期的かつ客観的な評価に関する基本的な事項を追加するとともに、規制の特例措置の見直しにあたっては、関係行政機関の長による評価を義務規定として追加。また、調査や評価を踏まえて首相が関係行政機関の長に対し、規制の廃止・見直しに関する意見を述べることができる旨を盛り込み、首相のリーダーシップが発揮できるよう改める。第2に、地方公共団体と民間業者が、新たな特例措置について、首相に提案することができることを明記する。第3に、特別区域計画の認定に際し、開始日だけでなく、実施機関を定めることを追加。第4に、ノーアクションレター規定について、地方公共団体への回答は書面か電磁的方法により14日以内に行わなければならない旨を盛り込むとした。
修正案の趣旨説明に続き、原案および修正案に関する質疑が行われ、民主党の山花郁夫議員が質問。続いて小泉首相に対する質疑が行われ、民主党から小沢鋭仁議員が首相の考えを質した。
小沢議員はまず、特区制度の目玉とされていた学校・病院経営への株式会社参入の状況について質した。小泉首相は「地方自治体から案が出されれば検討する」とし、鴻池担当相は、第一次募集では病院経営者からそうした提案はあったが、地方自治体からの提案はなかったことに言及した上で、「第二次募集では具体的なものが提案されるものと期待している。今後の検討課題としている」と、前向きな姿勢を見せた。
小沢議員はまた、民主党修正案のノーアクションレター規定について「不明瞭な霞ヶ関の裁量的な部分をできるだけ明示的にしていくもの」と説明し、見解を求めた。鴻池担当相は、「(指摘は)充分理解する。そこで、法案が成立した後に閣議決定する構造改革特別区域基本方針のなかで、書面(という文言)を折り込むことを約束する」とした。
続いて原案および修正案について一括して討論が行われた後、採決が行われ、民主党の修正案は起立少数で否決、政府案が原案通り可決した。
その後、附帯決議を付すべきとの動議が提出され、決議案の提出者である民主党の細野豪志議員が趣旨説明を行った。
附帯決議案は、本法の施行にあたって抜本的な規制改革および地方分権の推進の観点から政府が留意すべき点を指摘したもの。(1)規制の特例措置の適用状況について少なくとも年1回以上、その効果・影響等を評価すること、(2)本法成立後も規制の特例措置の追加提案を地方公共団体や民間事業者から定期的に受け付け、それに応じて基本方針の変更等の必要な措置を実施すること、(3)地方公共団体から、特別区域で実施しようとする事業に関連する法律等の解釈について確認を求められた場合は、書面または電磁的方法により回答すること――などとしている。趣旨説明後、採決が行われ、賛成多数で可決された。
内閣委員会散会後の21日午後に行われた衆議院本会議で、構造改革特別区域法案の審議が緊急動議で議事日程に追加され、内閣委員会の佐々木秀典委員長が委員会での審査経過・結果を報告。続いて採決が行われ、起立多数で可決した。
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