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2002/11/26
【NC】「イラク問題への対応について」を確認
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 民主党ネクストキャビネット(NC)は26日の会議で、イラク問題に対する現時点での党の見解を整理した文書「イラク問題への対応について」を確認した。

 文案は伊藤英成NC外務・安全保障相が提起。内容のポイントとして、
・国連による国際協調の枠組みの下で武力行使によらない解決を図る。
・米国等が対イラク武力行使に至らぬよう、自制した慎重な対応を強く求める。
・イラクと米国同時多発テロとの関連が明確でないため、この問題へのテロ特別措置法の適用は困難と考える。
 などの点を挙げた。

 また会議では、イラク問題をめぐる国会審議において政府側が「仮定の問題には答えられない」などと露骨な議論回避を続けていることが問題になり、今後、党として厳しく抗議していくことを意思一致した。

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2002年11月26日

イラク問題への対応について

民主党ネクストキャビネット
外務・安全保障大臣 伊藤 英成

1.基本的考え方

イラク問題への対応は、大量破壊兵器廃絶、テロ撲滅、中東和平、エネルギー安全保障などの観点から、わが国の外交上極めて重要である。 民主党は、イラク問題への対応にあたっては、国連などによる国際協調の枠組みを前提とし、宗教対立の構図としないよう細心の配慮のもと、武力行使によらない解決を図るべきとしてきた。その中で、わが国としては、イラクや国連安保理の動向、テロとの関連、憲法、国益等を慎重に検討し、主体的に対応すべきであると考える。

2.イラク問題への認識

イラクには、大量破壊兵器の開発、使用、拡散の疑惑がある。また、テロが拡散する中、テロ組織への大量破壊兵器流出のおそれなども指摘されている。国連安保理決議1441で示された「イラクがこれまで採択された一連の国連決議に従わず、国際平和と安全保障に脅威を及ぼしている」との認識を基本的に共有する。

3.当面の対応のあり方

3−1.イラクの大量破壊兵器問題について
・イラクは、今回受諾した安保理決議1441等を完全に履行して、国際査察が適切に実施されるよう全面的に協力し、国際社会のルールを遵守すべきである。国際社会の認識する脅威を、イラクが自ら払拭するよう求める。
・イラクが一連の国際的合意を適切に履行するよう、国際社会が協調してイラクに働きかけるとともに、履行を促す国際環境を維持していく。特に、わが国は、周辺中東諸国との対話と協調の推進に努める。
・わが国は、大量破壊兵器の廃絶・不拡散のために、特に、懸念されているテロ組織等への流出を防ぐよう、国際監視体制の強化など国際的協調体制を推進するなど、そのための取り組みを強める。

3−2.対イラク武力攻撃について
・イラク問題への対応において、わが国としては、あくまでも武力行使によらない外交的な解決のために、あらゆる努力を払うべきである。
・イラクへの武力行使は、イラク内乱と混乱の長期化、中東紛争の拡大、原油供給の不安定化、国際経済への影響など様々な大きなリスクが予想されている。また、現時点では事態後の情勢や安定化への道筋があまりに不透明と考える。
・米国等が対イラク武力行使に至らぬよう、自制した慎重な対応を強く求める。国連による合意に基づかない武力行使は支持できない。わが国は、その主張を国際的にも高めるためにも、米国、欧州、アジア、及び周辺中東諸国等の指導者、議員、市民団体などと連携していくことが必要である。

3−3.中東和平、イラク及び地域安定化への取り組み等
・イラク問題においては、中東地域全体の平和と安定が重要であり、その根本には中東和平問題があると考える。パレスチナ紛争の即時停止等をはじめ中東和平の実現のために、わが国は国連、各国と協力して、全力で取り組むべきである。
・わが国は、各国、国際機関などと緊密に連携しつつ、トルコや、ヨルダン、サウジアラビアなど周辺アラブ諸国との対話と協力、及び人道面・経済面等での支援を促進し、周辺中東・湾岸地域全体の安定を図るよう努めるべきである。
・テロに対しては、国際社会と一致して毅然と取り組む。しかし、テロ特別措置法の適用は、イラクと米国同時多発テロとの関連は明確でなく、困難と考える。
・わが国としては、テロの拡散を防ぎ、原因を取り除くために、国際的な対話や協力の促進、貧困問題や人間の安全保障、中東和平への取り組み、人道援助など、日本の特性を活かした外交努力を第一義とする。
・イラク及び周辺地域への人道的な支援においては、日本及び各国のNGOや市民団体とも連携・協力して行う。
・最新情勢の的確な把握に努めつつ、イラク、周辺中東諸国、米国等の指導者との対話を積極的に行うために、民主党調査団の派遣などを検討する。
・情勢の推移を注視し、邦人保護をはじめ危機管理体制に万全を尽くす。

以上のような日本の姿勢や立場を、米国等に対してはもとより、国際社会において明確に示し理解を得ておくことが重要である。

以 上

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