衆議院の個人情報の保護に関する特別委員会における18日の質疑で、民主党から島聡、細野豪志、後藤斎、中村哲治の4人の議員が質問に立った。
トップで質問に立った島議員は、政府法案第25条で「当該本人が識別される保有個人のデータの開示を求められたときは、本人に対し、政令で定める方法により、遅滞なく、当該保有データを開示しなければならない」としている点について、これを悪用して本人になりすまして他人の個人情報開示を請求するようなケースが出てくるのではないかとの懸念を示し、開示にあたっての本人確認の方法を質した。これに対して細田IT担当相は不明確な答弁を繰り返すだけで、島議員は「この点についてきちんと詰めてから法案を提出すべきではないか」と指弾。法案のあいまいさを改めて指摘した。
片山総務相に対しては、国や地方自治体への申請・届け出を原則すべて電子化する電子政府法案について質問。「便利な点もある」との見方を示しつつも、利用目的の異なる2つ以上の個人情報をコンピュータで照合・結合するのは個人の権利利益を侵害する恐れがある点を指摘し、「米国で実施されているように、コンピュータ社会では個人情報保護のためのデータマッチング規制が必要だ」と提起。しかし片山総務相は、目的外の情報利用・悪用は問題だが2つ以上の個人情報をコンピュータで照合・結合するのは問題ないとの見解を示し、データマッチングの禁止はむしろ電子政府の業務推進をむずかしくするとの答弁だった。
細野議員は、島議員の質問に対して片山総務相が「(個人情報の)目的外利用については事前通知を課しているので問題ない」と答弁したのを問題視し、「政府案にそれは本当にあるか」と追及。松田行政管理局長は「利用目的の変更が事前通知の対象になっている」などとしたが、「利用目的の変更と目的外利用はそもそも違う。目的外利用の事前通知などない。片山総務相の答弁はいい加減だった」と細野議員は厳しく批判した。
後藤議員は、個人情報保護法の政府案のように事業者の監督を第三者機関でなく各主務大臣に行わせる場合でも、各事業を所管している各課・室ではなく、独立した課・室が必要になるのではないかと指摘。また、政府案で情報公開審査会を情報公開・個人情報保護審査会に改組するにあたり、委員の定員が12人から15人に増やすとしている点についても「それで十分なのか」と疑問をなげかけ、情報公開審査会と個人情報審査会を別組織にすべきではないかと表明した。
中村議員は、行政機関の保有する個人の犯罪歴などのいわゆるセンシティブ情報の取り扱いの現状の一例として、被選挙権や公務員の欠格事由の有無の確認のための犯歴照会が明確な法的根拠のないまま行われている事実を指摘し、「センシティブ情報が適切に扱われていない。センシティブ情報について規定している野党案の方が優れているのではないか」と質した。片山総務相は、分権一括法の制定により機関委任事務が廃止された結果、犯歴照会の法的根拠がなくなっていることを認め、「何らかのものは必要なので、十分検討したい」と表明。一方、細田担当相は、「何がセンシティブ情報かをしっかり例示できるかどうか、検討が必要だ」と難色を示した。
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