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2003/04/22
【個人情報特】自衛官勧誘リスト問題で行政の情報流用追及
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衆議院の個人情報の保護に関する特別委員会における22日の質疑で、民主党・無所属クラブの横路孝弘、大畠章宏、平岡秀夫の各議員が質問に立った。横路議員は、防衛庁が住民基本台帳の情報を元に自衛官募集業務の対象者リストを作成していたと報道された問題、および不法な名簿売買が横行している問題について取り上げ、政府法案の実効性に疑問を投げかけた。
 
 横路議員はまず、防衛庁が過去30年以上に渡って地方自治体から提供を受けた住民基本台帳の情報を元に満18歳を迎える自衛官勧誘適齢者のリストを作成していた問題について追及。リストには、氏名、住所、生年月日、性別以外にいかなる情報が含まれていたかを質すとともに、自衛隊地方連絡部と自治体との間で作成している情報提供の「手引き」の提出を求めた。防衛庁の宇田川人事教育局長は、自治体によって世帯主氏名、本人の続柄、健康状態、技術免許などが含まれていることを認めたが、「手引き」の提出については「相談する」と答えるにとどまった。
 
 横路議員は、この自衛官勧誘リストが現行の「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」および行政機関個人情報保護法の政府案が対象とする「個人情報ファイル」に当たるか、またその保有は総務大臣への報告の対象となるか、を質した。宇田川局長および総務省の松田行政管理局長は、リストは「個人情報ファイル」には当たるものの人事情報であるため大臣への通知義務の適用対象からは除外されると答弁。同じ理由で、行政機関個人情報保護法の政府案における利用停止請求の対象にも該当しないとした。横路議員は、今回のリストは本人が知らないところで防衛庁が勝手に作成したものであり、いわゆる人事情報とは言えないと反論。このリストが個人のプライバシー保護にとって重大問題であることを指摘するとともに、政府法案がこの種の問題に対して個人の権利利益を守るものとはならないことを明らかにした。
 
 次に横路議員は、名簿売買の問題について質問。名簿業者がインターネットのホームページで、歯科医通院者、講演会参加者、サラ金利用者、マルチ商法会員、身体障害者など重要な個人情報によるリストを販売している例を挙げ、法案ではいかに対処するのかを質した。藤井内閣審議官は、本人の同意がない限り目的外使用は原則的に禁止されるとしたが、具体的な対応策については各省庁が業界ごとにガイドラインを設けるとするとしか言えなかった。横路議員は、個人の情報が第三者へ渡ろうとしていることについて、その本人は知りようがないとし、情報収集そのものを明確に禁止すべきだと指摘した。
 
 また、横路議員に続いて質問に立った大畠議員は、昨年来の個人情報保護法をめぐる国会論議を振り返りながら、与野党案の相違のポイントを整理。行政による目的外利用の禁止、主務大臣の関与および第三者機関の設置、センシティブ情報の扱いなどについて質しながら、“行政は誤らない”という発想に立つ政府案と、個人の権利利益の侵害を許さないという観点に立つ野党案との違いを浮き彫りにした。
 
 大畠議員の関連質問に立った平岡議員は、政府案が護持する主務大臣制の曖昧さを指摘。個人情報の保護という目的に特化し、それを官民統一して司る第三者機関としての個人情報保護委員会の必要性を明確に主張した。

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