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2003/04/23
【個人情報特】防衛庁の目的外利用の実態浮き彫りに
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衆議院の個人情報の保護に関する特別委員会で23日、防衛庁が自衛官募集にあたり、住民基本台帳から適齢者情報を抽出するよう市町村に要請し、提供を受けていた問題について集中審議が行われた。民主党・無所属クラブから、中村哲治、細野豪志の両議員が質問に立った。この問題では、住基台帳法で閲覧できる4情報(氏名、住所、生年月日、性別)以外に、自治体によって世帯主氏名、本人の続柄、健康状態、技術免許などの記載が見られることが明らかになっている。

 民主党が求めた自衛隊地方連絡部と自治体との間で作成している情報提供の実態調査報告書をもとに、中村議員は質問。全国すべての内容を調査したものだとする防衛庁の宇田川人事教育局長の答弁を得た上で、中村議員はこの調査以外にはないかと念を押し、「これ以外の情報はない」とする答弁を引き出した。
 
 中村議員は法的根拠をめぐって、知事と市町村長は「政令で定めるところにより自衛官募集に関する事務の一部を行う」とする自衛隊法97条と、首相は「自衛官の募集に関し必要があると認めるときは、知事または市町村長に対し必要な報告または資料の提供を求めることができる」とする同令120条の問題を取り上げ、「120条に基づけば、自衛官の募集に関し必要があると認めるときならば、法的にはどんな情報でも出せると言うことか」と質問。それに対し宇田川人事教育局長は「自衛官の募集に関し必要があると判断されれば、提出を求めることは可能だ」と答弁。石破防衛庁長官は「必要でない情報はとれない、とらない。それは必要ではないからだ」などと逃げの答弁をしたが、中村議員は実際に世帯主氏名、筆頭者、本人との続き柄、郵便番号、電話番号、職業などが記載されていたことを明示した上で、住基台帳法で閲覧できる4情報以外であっても提出を求めることができる事実を問題視し、何ら制約もないことを指摘した。

 また中村議員は、自衛隊の受験希望者の住所確認を防衛庁が警察に依頼している点を問題視した。宇田川人事教育局長は「合格通知等が円滑に送付されるよう住所を確認している」などとする答弁を繰り返し、中村議員は「公務員等についても条件は同じはず。合理的な理由とはいえない」と指摘。実際の調査法についても宇田川局長は明らかにしなかった。

 続いて質問に立った細野議員も報告書内容に沿って、「提供情報の電子化の有無」に関して17の地連が情報は電子化し、30は行っていないとする報告に疑問を呈した。細野議員は「データを収集した目的は広告・資料を学生等にDMで送付するためとされているが、電子化していないとする情報は手書きでDMを出したのか」と指摘。宇田川人事教育局長は「(宛名用に)ラベル化しているかもしれない」などと答弁し、「提供情報の電子化の有無」とされた調査報告書の根拠があいまいであることが浮き彫りになった。
 
 また、細野議員は、中村議員の質問に対して、報告書は防衛庁の求めに応じて提供された全国すべての情報について網羅したものだと胸をはった宇田川人事教育局長の答弁に言及。細野議員は石川地連作成の「自衛官募集事務の手引」を例に、報告書の調査対象は平成12年版にすぎず、それ以前の内容は何ら把握していないずさんな実態を明らかにし、細野議員は「調査報告書は法違反がないことを立証できていない」ときびしく指弾した。
 
 続いて細野議員は片山総務相に質問。片山総務相が住基の情報の取扱いをめぐって、「住基のデータはきっちり守る。情報提供にあたっては、法律で定められたもの以外は出さないので安全」と一貫して主張してきた点を確認。その上で細野議員が「『首相は自衛官の募集に関し必要があると認めるときは、知事または市町村長に対し必要な報告または資料の提供を求めることができる』とする自衛隊令120条の前では、住基の情報を出せるということか」と追及。片山総務相は「法律に基づく政令だ」などと答弁した。
 
 細野議員は行政機関がもつ情報の目的外利用に関して大きな穴があることに改めて言及。また個人情報取扱い業者に対して極めて強い勧告・命令権をもつことになる主務大臣が、現場の例外規定等さえも把握していない実態が今回の問題を通じて明らかになったことを指摘し、質問を締め括った。

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