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2003/04/23
【党首討論】菅代表、小泉政権2年間の不毛を厳しく総括
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今国会3度目の党首討論が23日に行われ、民主党の菅直人代表は、小泉政権の内政・外交にわたる政策的行き詰まりを厳しく追及した。主なやりとりは以下の通り。

●松浪議員問題

菅 保守新党の松浪健四郎議員が暴力団員が会長をする企業からヤミ献金を受けていた。しかも、当初は組員だと知らなかったが、それが分かった後も受け続けていた。さらには、その人が指名手配を受けたときに、警察に捜査状況を問い合わせた。これに対して、保守新党の扇大臣、元保守党党首は、「やはりきちんとけじめをつけるべきだ」と言われた。私たち野党も、今日、国会議員として辞任勧告決議案を上程する。総理は、与党の一員であるこの松浪議員に対して、けじめをつけるべきだと言うのか、いや必要ないと言うのか。

小泉 松浪議員は政治倫理審査会の場に出て説明したいと言っている。まずは、聞くことが必要だと思っている。

菅 結局総理は、政倫審に出るまではそのまま議員を務めてもいいと。そういう保守新党とともに、(衆議院・参議院の)補欠選挙も戦うということだな。

小泉 議員本人のことは議員個人が一番よく知っている。出処進退は本人が決めるべき問題だと思っている。

菅 本人は事実関係を認めている。総理は自分が都合が悪くなると歯切れが悪くなる。

●小泉政権2年間の総括

菅 小泉政権ができた時に、「構造改革なくして景気回復なし」「自民党をぶっ壊してでもやるんだ」という2つの言葉が国民に支持されてスタートした。しかし2年経った今日、景気回復するどころか株価は半値近くまで下がっている。自民党はぶっ壊れるどころか、そろそろ後釜を探して、政権のたらい回しを考えている。総理はこの2年間で具体的に成果が上がったと言えるものが一つでもあるか。

小泉 民にできることは民に任せよう、地方にできることは地方に任せよう、歳出も見直していこう、そういう方針が着実に進んでいる。

菅 具体的に。

小泉 郵政3事業民営化については、就任前は与野党ともに民営化に賛成する政党は一つもなかった。郵政公社化も、小泉内閣だから党の了解を得ないで法案を出した。自民党も最終的には協力してくれて、実質的に公社化になって、民営化の実質的な一歩が進んでいる。道路公団民営化もそうだ。どの政党が民営化が必要だと言ったか。私の内閣になってから初めてやった。そうしたら「不十分だ」と。国債30兆円枠も、「守れない、守れない」。じゃ、守った方がいいのかと聞きたい。民主党は30兆円枠を法律でしばれと言った。私は経済状況を見て柔軟に対応すると言ってきた。行財政改革、歳出改革、金融改革、税制改革、規制改革、着実に進んでいる。

菅 『ここまで進んだ小泉改革』という内閣府の冊子が届いたが、(改革の)13項目の中にどういう訳か、景気、雇用、財政改革などがまったく入っていない。一番中心に据えていた改革が一つも進んでいないことを示している。私の方で13項目を調べてみた。
1 国債30兆円枠 → とっくに突破
2 不良債権処理 → 2、3年で解消どころか増えている
3 ペイオフ解禁 → 2年先送り
4 郵政事業民営化 → 橋本内閣が決めた公社化をやっただけ
5 道路公団民営化と国費投入ゼロ → 民営化は不明確、国費は投入が始まっている
6 特殊法人の原則廃止と民営化 → 統合か独立行政法人化のみ
7 医療制度抜本改革 → 先送りで患者3割負担だけが先行
8 公用車への低公害車導入 → これだけ○
9 地方への税源移譲 → 財務相が反対でどうなるか
10 8月15日の靖国神社参拝 → 日にちを変えて参拝
11 公共事業受注企業からの献金禁止 → 与党案出ず
12 雇用機会の拡大 → 2年間で2百万人以上が雇用から離れる
13 株価 → 「一喜一憂せず」で半値に
 ようするに、やったのは税金で公用車を買い替えたことだけだ。
 
小泉 どこを見ているのか。
1 大胆かつ柔軟に対応するのが公約 枠を守れと言うのか
2 進んでいる
3 無理ない対応をしている 見送るなと言うのか
4 公社化は民営化の一歩
5 どうやってやるかはこれから
6 住宅金融公庫、石油公団の廃止は決まっている
7 診療報酬改定などもやっている
8 ──
9 三位一体の方針でやっている
10 毎年参拝している 8月15日に行けというのか
11 与党で今まとめている
12 5年間で530万人の雇用をつくる方針
13 たしかに下がっているが、悲観する必要なはい

菅 これらは(総理が)国民に約束したこと。できなくなったら「大したことはない。悪いのは民主党だ」みたいなことを言っているが、問題をすり替えている。具体的な改革の成果は一つも出ていない。

●北朝鮮への対応

菅 今日からアメリカと中国と北朝鮮の3国の協議が始まった。中国が北朝鮮の核開発に反対していると言えば、これは大きな効果がある。私は今月の16日に胡錦濤主席に会って意見交換したが、「私たちは朝鮮半島の非核化を主張し、南北どちらの核開発も否定している」と語り、北朝鮮の核開発に反対である立場を明確にして協議に臨んでいる。大変重要なことだ。中国首脳と日本の首脳が会って話をすべきだと思うが。

小泉 いずれお会いしたい。

菅 電話でも会談していないのか。

小泉 していない。

菅 日本の戦後最大の安全保障問題とも言える北朝鮮の核問題において、中国がどういう態度を取るかは重要。まさに3国協議が今日から始まるという時に、なぜ総理が主席と会えないのか。

小泉 いずれ機会が来れば会えると思っている。心配していない。

菅 今会うことが重要なのだ。私は日米韓がワンパッケージで北朝鮮に提案を行うことを提唱した。韓国の盧武鉉大統領は「賛成だ」と言い、中国外相も「大変考えられた提案で同感だ」と評価してくれた。総理は北朝鮮の問題について練り上げた方針を持っているのか。

小泉 日朝平壌宣言を誠実に履行することが最も重要。

菅 宣言の後に、NPT脱退通告があり、国連査察団が追い返され、日本との交渉が断絶したのに、宣言の履行が基本方針なのか。北朝鮮が瀬戸際外交に踏み切ったことに対してどう対応するのか。昨年9月の時点で頭がストップしてしまったのではないか。考えられない。

小泉 日朝平壌宣言を評価しないとは驚きだ。

菅 なぜ中国の主席は、総理が会うことを希望しても、川口外相が訪中しても会わないのか。その理由は何だと思うか。

小泉 私が詮索する問題ではない。

●改革派知事の閣僚起用

菅 改革派の知事を分権推進の特命大臣に起用する考えはあるか。

小泉 現職の知事を起用する考えはない。

菅 総理も口先だけは改革派でも、実際には守旧派になったということだ。結局、内政においては何一つ成果が上がっていないし、外交においても自分としてのメッセージがないということを改めて確認した。

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