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2003/04/24
【衆院事態特】平岡議員、政府法案の憲法上の根拠を質す
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衆議院の武力攻撃への対処に関する特別委員会で24日、政府提出の武力攻撃事態安全確保法案など、有事法制関連3法案について集中審議が行われた。民主党・無所属クラブから首藤信彦議員に続いて、平岡秀夫議員が質問に立った。

 平岡議員は冒頭、連休中に小泉首相、川口外相、石破防衛庁長官など12名の閣僚が外遊することを指摘。「最高責任者、日米安保条約の責任者、国防の責任者の3大臣が5月3日については全員海外に行っている。政府の危機管理意識がちゃんとしているのか」と、福田官房長官らに危機管理への対応を質した。

 官房長官は「国会のお許しがなければ行けないが、この時期に各閣僚が担当する分野の国際会議があり、それが偶然重なった」「危機管理については、臨時代理をそれぞれ設け、対応に万全を期したい」と答弁。平岡議員は、「そういうことを言い出すこと自体、危機管理意識が乏しい」と政府に対して強く抗議した。

 続いて平岡議員は、憲法上、参議院の緊急集会の規定(54条)を除いて緊急事態に対応する規定がおかれていない現状を指摘し、「武力攻撃事態安全確保法案制定の憲法上の根拠は何か」と質した。「武力攻撃事態安全確保法案関連3法案は現憲法の範囲内で立法しようとするもの」と官房長官が答弁したのを受け、平岡議員は「憲法の範囲内とはどこからどこまでなのか」と追及。福田官房長官は「突然の質問で私もよく整理していない」などと極めて無責任な答弁を行ったため、平岡議員は「突然ではない。時間の無駄をしているようなものだ。きちっと答弁してもらいたい」と強く申し入れた。

 基本的人権について平岡議員は、武力攻撃事態安全確保法案3条4項の「これ」が「日本国憲法の保障する国民の自由と権利」を指すとの政府答弁を受け、その規定は憲法の保障する「国民の自由と権利」に制限を加えることになるとし、「憲法違反ではないか」と糾した。官房長官は、国および国民の安全を保つという高度の公共福祉のために合理的な範囲と判断される限りにおいては「その制限は憲法13条等に反するものではない」と答えた。平岡議員は同法案が憲法の保障する「国民の自由と権利」を制限するという規定を有するため「問題、疑義がある」と指摘した。

 平岡議員は続いて、武力攻撃事態への対処基本方針に対して、民主的統制という視点から国会承認のあり方を質した。「武力攻撃予測事態」から「武力攻撃事態」に認定が移る場合、対処基本方針の部分が変更するとの政府答弁について、国会は最初に認定した対処基本方針そのものを不適切と判断する可能性があると指摘。法案はこうした場合に対応できていないとし、「国会よる部分承認を認めるべきではないか」と提案した。

 平岡議員はまた、対処基本方針に基づき、内閣総理大臣が自ら地方公共団体または指定公共機関が実施すべき対処措置を実施することができる、とする規定について「自ら実施するというのは、具体的にどのような方法でどのように実施することを意味しているのか」と質した。福田官房長官は「内閣総理大臣が自ら対処措置を実施する場合の対象・要件等については、今後整備される事態対処法制において個別具体的に規定される」などと述べるに留まった。平岡議員は「自ら実施する」ということが具体的に想像がつかないとし、今後、個別具体的な事例を示すよう求めた。

 また、日本で9.11と同様のテロがあった場合、米国がテロ攻撃国に対して、安保条約を根拠に自衛権の行使としての武力攻撃ができるとの政府答弁に関連し、平岡議員は「米軍や自衛隊の戦闘行為により国民が被害を受けた場合、その国民に対して、どのような救済が行われるのか、損害の賠償を認定するための仕組みを整備する必要はないか」と質した。石破防衛庁長官、川口外相は明確に答えられず、十分な制度ができていないことが明らかになった。

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