個人情報保護法案を審議している衆議院個人情報保護特別委員会で24日、民主党からは長妻昭、今野東、中村哲治各議員が質問に立ち、報道の定義や防衛庁による住基台帳情報等の提供要請問題について質疑を行った。
長妻議員は、報道機関の記者が、ある政治家を陥れるなど報道目的以外の目的で政治家の身辺取材を行う場合や、自称「フリーライター」の名刺を持っているだけで、報道目的として適用除外になるのか、悪意の有無をいずれかの行政官庁が判断するとすれば、フリーライターなどの報道活動は結果的に萎縮することにならないかと質した。細田担当相は、「悪意であっても報道目的と推定され、適用除外になると割り切っている」「この法律は、個人情報を大量に保有する事業者を対象にしているので、指摘のような例は、対象としない。どこの窓口に苦情を持ち込まれても取り扱わない」と言い切った。
今野議員は、前日に防衛庁側が住民基本台帳のうち閲覧可能な4情報(氏名、住所、生年月日、性別)以外の情報を提供していた市町村を332と報告したことに関連し、防衛庁の説明よりも多いとの新聞報道を踏まえ、防衛庁側が現時点で把握している市町村数と市町村名を質した。これに対し、赤城防衛副長官ら防衛庁側は、「精査中で今の段階では申し上げられない」「相手方市町村との関係もあるので、市町村名はご容赦いただきたい」と不明朗な答弁に終始した。今野議員は、「4情報以外の情報を出された人々はどうなるのか。自分の情報が提供されたのかどうか、当然知る権利がある」と食い下がったが、総務省局長は「かりに本人が情報公開法で請求しても、個人情報は開示できない」とこれを拒絶した。
中村議員は、銀行等の保有する個人の信用情報が最もセンシティブな個人情報の一つとの認識に立って、これが銀行系列の企業グループ内などで共有される可能性や悪意の第三者によって盗用される可能性を指摘。信用情報については、基本法だけではなく、より厳格な個別法が必要ではないかと質した。細田担当相も「あらゆる分野の中で金融は一番センシティブな分野と思っており、基本法制定後も金融審議会などで議論を深掘りしていくべきだ」と中村議員の指摘に賛意を示した。
中村議員はまた、防衛庁が自治体から提供を受けた住基情報の使用後の廃棄に関する前日の民主党・細野委員の質問に関連し、文書で明確な廃棄ルールを定めていないことを重大視した。赤城副長官は、ダイレクトメールの宛名を印字した後、打ち込んだデータは廃棄するよう事務連絡しているとしつつも、「今後、委員の指摘を踏まえ、廃棄ルールを明確に定めていきたい」と答えた。
|