12日午前、参院本会議において芝博一参院議員が登壇し、消費者契約法改正案について、問題点を指摘し、今後の課題を提示した。
同法案は、事業者が不当な勧誘行為等を行った場合に適格消費者団体にその差止請求を認めるとともに、そのために適格消費者団体の認定・監督制度等を新たに設けるもの。民主党は衆院で修正の上で賛成した。芝議員はまず、消費者トラブルの被害者の思いをわが思いとして質問すると述べて、質問を開始した。
まず芝議員は、「知恵と勇気を持て」というだけの従来の政府の消費者対策の限界を指摘し、今後の消費者行政の基本方針を問うた。これに対して猪口担当大臣は、消費者基本計画に則り社会全体としての取り組みが必要との抽象的な答弁を行った。
芝議員は法案の内容に入り、衆院では民主党の主張を受けて、差止訴訟の管轄裁判所に不当な行為が行われた地域を管轄する裁判所を加える修正が行われ、より消費者の立場に立った法案とすることが出来たことを報告した上で、問題点の指摘に移った。
芝議員は、差止請求だけで損害賠償請求が認められていないことは、すでに被害にあった消費者にとって救済とならないことを指摘した。担当大臣は、個人の損害賠償請求との関係で導入を見送ったと答えた。
芝議員は、適格消費者団体の認定基準が厳格すぎること、また不明確な文言が多く行政の恣意的運用となる恐れがあることを指摘し、認定要件の再考を促した。担当大臣は、具体的な認定基準はパブリックコメントに付するとし、認定は行政手続法にもとづいて行うと答えた。
芝議員は、一つの適格消費者団体が起こした裁判の判決がある場合は、原則として同一事件についての差止請求は出来ないとすることは、民事訴訟の原則に反し、またある団体による不適切な訴訟遂行の結果が他の団体に及ぶのは不合理だと指摘した。担当大臣は、この差止訴訟が公益的なものであるという特性に由来するもので、民事訴訟の原則の例外ではないと答えた。
芝議員は、適格消費者団体の活動資金の確保の重要性を指摘し、同団体に任務だけを押し付ける危険性があると質した。担当大臣は、適格団体の制度の周知に努めるとの答弁にとどまり、谷垣財務大臣および竹中総務大臣は特定NPO法人と公益法人にはすでに税制上の優遇措置があるのでそれ以上の措置は考えていないとの答弁にとどまった。
芝議員は、本法案については社会情勢の変化に応じて見直しを行うべきであり、必要があれば衆院での付帯決議にある5年よりも前に見直しをすべきであると迫った。担当大臣からは、時宜を失うことなく所要の見直しを行うとの答弁を得た。
芝議員は、せっかく制度が出来てもその使い勝手が悪ければ絵に描いたもちであると述べ、真に消費者の立場に立った消費者団体訴訟制度の確立を求めて質問を終えた。
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