参議院イラク支援特別委員会において14日、国民保護法案など有事関連7法案および3条約の討論・採決が行われ、民主党および自民、公明両党などの賛成多数で可決された。委員会ではこれに先立ち、小泉首相出席のもとで質疑が行われ、民主党・新緑風会の平野貞夫、斉藤勁の両議員が質問に立った。
今期で引退するため最後の質問となる平野議員は、まずサミット期間中に小泉首相がブッシュ米大統領に対して多国籍軍への参加を独断で公約した問題を追及。「本来、(多国籍軍への参加には)新たな立法が必要であり、衆議院を解散して国民に信を問うのが憲政の常道だ。その意志はないのか」と質した。しかし小泉首相は「国連安保理決議(第1546号)に沿って日本としてふさわしい貢献を行う。これはイラク特措法に基づく活動だ。国会を解散するつもりはない」などと答弁。平野議員は「決議で特措法の枠組みは当てはまらなくなっている。もうごまかしやなしくずしでやるべきではない。やるなら、他国と同条件で同じことをする枠組みにすべきだ」と厳しく指摘した。
また平野議員は、昨年11月のイラクにおける日本人外交官射殺事件の解明が進んでいない問題を取り上げ、「外務省、警察庁の調査報告書は真実でない。米軍の誤射という証言もある」と指摘。在ヨルダン大使館や米国からの調査報告書、被害車両などの公開を強く要求した。
斉藤議員は、イラク捕虜虐待事件で国際的にも非難を浴びている米国に対して、国際人道法であるジュネーブ条約の第1・第2追加議定書の締結を働きかけるべきではないか、と提起。川口外相は「未締結の国には締結を求めていく」と一般的な答えにとどまった。
斉藤議員は続けて、同日中にも与党が多国籍軍への参加方針を決めると伝えられていることについて「ブッシュ大統領に何でもハイハイでは困る」と危惧を表し、法的根拠や国際連帯との関係などを十分に議論すべきことを訴えた。
討論では、民主党・新緑風会から若林秀樹議員が法案に賛成の立場から発言。緊急事態への対処において政府による超法規的措置の発動を許さず、民主的統制を実現する観点から与党と協議を重ねて法案修正をかちとってきた経過を振り返り、法成立後の運用においてもその趣旨が尊重されるべきことを主張した。
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