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2005/01/24
岡田代表の質問に首相まともに答えず 抗議のため民主党議員退席
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 21日の小泉首相の施政方針演説を受け、衆議院本会議で24日から代表質問が始まった。民主党・無所属クラブからは、トップバッターとして岡田克也代表が質問に立ち、内政・外交の諸課題について、小泉首相の見解を厳しく質した。しかし首相はまともに答えようとせず、審議は紛糾。民主党議員は、議論をかたくなに拒否する不誠実な首相の態度に反発し、本会議場を退席した。

 代表質問では、岡田代表は冒頭、スマトラ沖大地震とインド洋津波災害の被災者の皆さんへお見舞いの言葉を述べ、阪神・淡路大震災から10年が経つことにも触れながら、「政治の原点は一人ひとりの人間の命を大切にすること、一生懸命生きている人々を支援すること」との基本認識に立って質問すると表明した。

 民主党など野党が21日に改正案を提出した被災者生活再建支援法については、前国会で廃案とした政府・与党の取り組みを厳しく批判。「なぜ本当に困っている被災者が求めるささやかな要求が満たされないのか」として、与野党全会一致で改正案を成立させるよう、力強く呼びかけた。首相はこれに対し「様々な角度からなお議論を深める必要がある」と全く誠意のない答えに終始した。

 年金制度改革については、昨年、政府・与党が進めた年金制度改革は「持続不可能」で「問題の本質的な解決にならないことは明らか」と厳しく批判。首相に対して、方向性の合意もなく議論をしても成案を得ることはできないと断じた上で、(1)抜本改革の集中的議論、(2)抜本改革が必要との基本認識、(3)年金保険料上限15%と消費税の活用、(4)年金制度一元化と納税者番号制導入、の四点について見解を質した。首相は、「年金制度自体は持続可能な制度に見直すことができた」と根拠なく一方的に断言。「社会保障制度全体について一体的見直しを」との抽象的な答弁を繰り返した。

 また岡田代表は、「地域再生にあたり最も重要なことは地方主権」だとして、小泉首相のいわゆる三位一体改革を「この点において全く評価できない」と断じ、首相の見解を問うとともに、「地方分権はもう一回ゼロからやり直すべき」と厳しく指摘した。首相は、「残された課題についても国と地方の協議の場などを通じて検討を進める」などの答弁をするにとどまった。

 郵政改革について岡田代表は、その必要性について「いまだ国民の理解は深まっていない」とした上で、「郵貯・簡保については民間でもできることであり、将来的には民営化が本筋」としつつ、「将来展望なき民営化は、350兆円の国民資産をリスクにさらす」として、「もう少し丁寧に民営化を模索することが必要」と指摘した。首相に対しては三点、基本的な疑問を示し答弁を求めた。首相はこの基本的な質問にも「現在制度設計を検討している」「国債市場の安定性を損なうことのないよう十分配慮する」などと、答えにならない答え。

 また、外交問題について岡田代表は、日米の信頼関係の重要性を指摘しつつ、同時に「アジア外交を重視すべき」との認識を示し、首相の取り組みを質した。岡田代表は更に、世界の大国米国には謙虚さが、良き友人である日本には賢明さが求められている、と指摘。首相の基本姿勢を質した。首相はこれに対して、「日米双方は従来より、強固な信頼関係の下で、言うべきことを言い、やるべき事をやってきている」などとした。

 イラクへの自衛隊派遣問題に関しては、岡田代表はまずイラク戦争が正しかったと今でも思っているのかを首相に改めて質問。「現在のイラクに非戦闘地域はなく、自衛隊は直ちに撤退すべき」とするとともに、3月のオランダ軍撤退以降は「イラク特措法上の安全確保義務違反の状態になることは確実」と指摘して、自衛隊撤退についての首相の見解を質した。首相はこれに対しても、「イラクは累次の国連決議に違反した」「今後とも隊員の安全確保に万全を期す」などと従来の答弁の繰り返し。

 旧橋本派のヤミ献金問題など政治倫理をめぐる問題についても岡田代表は、「関係者の証人喚問を実現し、事実を国民に明らかにすることは、自民党総裁である小泉総理の責任」と厳しく断じ、不誠実で他人事のような答弁を繰り返してきた小泉首相を厳しく批判。首相は、「各党・各会派で十分ご議論いただきたい」などと相変わらず他人事のような答えに終始した。

 最後に岡田代表は、小泉内閣4年近くを振り返って「期待は裏切られ続けてきた」とし、「民主党が政権を担い、改革を成し遂げるための準備は既にできている」と表明。「言葉だけの改革はもう十分」とし、「政権交代なくして改革なし」だと断じて、「必ず政権交代を成し遂げて本当の改革を実現する」ことを力強く誓い、いったん質問を締めくくった。

 更に岡田代表は、小泉首相の答弁を受け、首相が質問に直接答えなかった9項目について再質問。被災者生活再建支援法について、「今、まさしく被災地で苦しんでいる方々のために、まさしく政治的な決断が求められている」と厳しく指摘。「政治家としての、総理としての、明確な答弁を」求めた。年金改革についても「全体を議論すると言って全体が先送りされてきたのが今まで」だと厳しく指摘。「まず年金の問題をしっかり議論する、こういう方針で、かつ議論するのは国会の場であるということを確認したい」と、答えを求めた。岡田代表はこのほかにも7項目にわたって、首相の再答弁を求めた。

 これに対して小泉首相は、「全てに明確に答弁している」と述べるのみで「答弁」を終えた。あまりに不誠実かつ不真面目なこの「答弁」に、本会議場は騒然となり紛糾、審議はストップした。これに対して、答弁を補足したい、として再び壇上に上がった首相は、「各再質問項目の中で、岡田代表や民主党の意見があったことは理解している。それに対する答えは先ほど私が申し上げた通り」と、議論をかたくなに拒否し、国会での議論を愚弄するような発言。さらに「補足」するとした首相は、「私の答弁に不満があるということは理解できる。しかし私は岡田代表の質問にもれなく答弁したと思っている」としたため、民主党議員はこの不誠実な態度に強く反発し、本会議場から退席した。

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