衆議院財務金融委員会において10日、政府提出の保険業法改正案について参考人質疑、締めくくり質疑に続き、討論・採決が行われ、与党3党などの賛成多数で可決された。民主党はじめ野党4党は、生命保険の予定利率引き下げを可能にする本改正案に一致して反対したが、及ばなかった。
討論・採決に先立ち、総理に対する質疑に立った民主党の五十嵐文彦議員は、まず政府が「逆ざや」による生保の経営危機の除去を予定利率引き下げを可能にすることの論拠としていることに対し、金融庁の資料でも生保が逆ざやを上回る費差益(経費の見込みと実際の差)・死差益(死亡率の見込みと実際の差)を上げていると報告されていることを指摘し、今回の改正が保険契約者ではなく生保とそこに出資する銀行を救うためのものであることを暴き出した。
小泉首相は、「予定利率を下げるのは強制ではない」「選択肢を提供するもの」などと繰り返したが、五十嵐議員は、金融庁が生保からの申請前に業務改善命令を出すなどして事実上強制的に利率引き下げに追い込む仕組みであることを指摘。さらに、引き下げによって契約者が受けとる保険金や年金が3割から5割も減少するという試算を提示し、改正案は「契約者の生活設計を破壊する」と厳しく批判、その撤回を求めた。
その後、討論では民主党から小泉俊明議員が反対討論に立ち、契約者に一方的に損失を負わせる改正案の否決を求めたが、採決では与党3党の賛成多数で可決された。
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