衆院予算委員会で27日、災害対策費約1兆3600億円などを盛り込んだ2004年度補正予算案に関する基本的質疑が行われ、民主党・無所属クラブからはまず川端達夫幹事長が質問に立ち、小泉首相はじめ関係大臣に質した。
川端幹事長は冒頭、小泉内閣発足以来、国民の生活基盤が足元から崩れ、将来不安が増大する現状にあっては、政権交代が不可欠との考えを改めて示し、質問に入った。スマトラ沖地震・津波災害支援について川端幹事長は、政府の迅速な対応を評価した上で、「弱い者から順に被害は大きく、立ち上がるのは強い者から順との認識をもって欲しい」と述べ、届きにくい・弱い立場の方々へ支援が届くような配慮を小泉首相に要請。また「出しっ放し」にならないよう、使途内容を明らかにして透明性を高めると同時に、継続的なモニタリングに基づく、ニーズの変化に即応した支援の必要性を指摘した。
台風・新潟地震対策をめぐって川端幹事長は、「新たなニーズにも柔軟に真摯に対応を」と首相に要請。住宅再建支援をめぐる政府の認識を質した。川端幹事長は「被災者生活再建支援法が昨年改正されたが、非常に使い勝手が悪い」と述べ、元の土地への再建が義務付けられていたり、所得制限があるなど、被災者の立場に立った視点が欠けている点を指摘。「住宅本体の再建をなぜ支援しないのか」と川端幹事長が質したのに対し、村田防災担当相は「公共インフラに税金を使うことを前提としている。法律には4年後に見直し規定があるので、様々な観点から議論を」とだけ答弁。川端幹事長が、「被災者の思いを共有して何とかしようという一点にかかっている」として小泉首相の前向きな答弁を期待を込めて求めたが、「議論を深めるべき」とするだけで、自らのリーダーシップは何ら示さなかった。こうした姿勢に対し川端幹事長は、民主党など野党が提出した、住宅本体の再建に公費支給を可能にする被災者生活再建支援法改正案の成立に向け、力を尽くす考えを表明した。
国民負担増につながる定率減税縮減をめぐっては「景気に悪影響をもたらし、個人消費の冷え込むことは明らか」と川端幹事長は述べ、縮減すべきでないとの立場を表明。05年度与党税制改正大綱で「経済状況により機動的・弾力的に対応する」とした部分の認識を質した。それに対し谷垣財務相は、「確かに景気動向が悪くなった場合にどうするかということだが、直ちに定率減税縮減の見直しを行うという趣旨のものではない」と語った。川端幹事長は「要するに簡単に税を取れるところから取っているに過ぎない」と断じた。
自民党旧橋本派への1億円ヤミ献金事件で、政治資金規正法違反容疑で告発され、不起訴処分となった橋本元首相、起訴猶予処分の野中元自民党幹事長、不起訴処分の青木幹雄・同党参院議員会長に、東京第二検察審査会が、不起訴不当とした議決を川端幹事長は取り上げ、「解明するのが国会の責任」として証人喚問の実現を要請。自民党総裁として実現に向け、リーダーシップを発揮するよう小泉首相に求めたが「各党で協議が進められていると聞いている。議論を」と答弁するだけで、自らの姿勢はあくまでも示さなかった。川端幹事長は首相が座右の銘とする、「論語」の一節にある「民無信不立(みんしんなくばたたず)」を引用し、国民の政治不信の払拭が不可欠として、証人喚問の実現を重ねて要請した。
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