参議院本会議で13日、保険業法改正案の質疑が行われ、民主党・新緑風会の円より子議員が質問に立った。
円議員は冒頭、「この法案が成立すれば、一般契約者が将来受け取る保険金が終身保険で最大40%カットという国民の不安の高い制度がスタートしてしまう。それなのに対象となる生保の定義もあいまい、引き下げ生保の利益の源泉に対する情報公開も経営責任も明文化されないなど、衆議院の審議では不十分」と指摘。法案に反対を表明し質問を行った。
円議員は本改正案が本会議の議題になるのは4月18日以来2度目にすぎない点にふれ、きわめて異例な事態だと指摘。前回の法案提出前に金融庁では予定利率の引下げまで盛り込んだ案をすでに作成していたにもかかわらず、統一地方選を控え、国民の反発を恐れて予定利率の部分だけを先送りさせた与党が、統一地方選が終るや否や拙速な手続きで改正案の提出を強行したやり方は国民への配信行為だと厳しく批判した。一旦見送った改正案の再提出を決断した竹中金融・経済財政担当相の責任は重大だとし、4月18日の本会議での「慎重に考える」との答弁と再度の改正案提出の整合性について質した。
竹中担当相は「慎重に検討した結果」などとし、過去の答弁との齟齬はないと強弁した。
続いて円議員は、決算の正確性や株主責任を明確にしないまま、りそな銀行への資本注入を急ぐ理由について質問。資本注入を強行する背景には大株主の生命保険会社を守る意図があるのではないかと指摘。円議員はまた、予定利率の引き下げは生保に出資している銀行救済が主眼であり、本改正案提出の真の目的は生保の延命措置と銀行救済にあるのではないかと質した。
竹中担当相は「わが国経済およびりそな銀行が業務を行っている地域の金融危機が起こることを未然に防ぐために行った」などと答弁。資本注入決定も確実性の高い情報をもとに判断したとした。本改正案提出の真の目的については、銀行・生保の救済が目的ではなく、保険業の継続を通じた保険契約者の保護が目的だと答弁した。
「破綻するより予定利率引下げの方が契約者保護になる」との政府の主張にも円議員は疑問を呈し、更正特例法を早期に適用した方が契約者の利益に適うのではないかとの考えを示した。円議員はまた、保険会社の財務のわかりにくさを問題視し、経営状態を客観的に判断できる「三利源」や真の逆ざや額などの資料を開示しないまま、契約者に痛みを負えをという議論はアンフェアだとして、国民への情報開示の必要性を指摘した。
その上で円議員は、本改正案が「約束は守る」という社会生活の基本を蹴飛ばすことに国がお墨付きを与えようとするものであり、政治不信は深まるばかりだと指摘し、質問を締めくくった。
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