衆議院予算委員会で28日、民主党・無所属クラブの永田寿康衆議院議員は岩國哲人議員に続いて質問に立ち、NHK問題、迂回献金が日常化している自民党の「政治とカネ」の問題をめぐる不透明な体質をめぐり、小泉首相はじめ関係大臣を質した。
永田議員はまず、NHK不祥事に伴って辞任した海老沢勝二前会長がNHK顧問に就任したことについては、国民の納得が得られないとの認識を示し、麻生総務相に会長辞任に伴って支払われる退職金の実態、顧問の待遇等を質した。それに対して麻生総務相は、「退職金は決まり次第報告する」「顧問としての手当ては知らない」などと答弁。永田議員はメディアに対する政治の不当介入には十分配慮しつつも、監督官庁として国民の信頼回復に向け適切な指導を行うよう、麻生総務相に要請した。
続いて永田議員は、政治とカネの問題をめぐり、27日の同委員会で民主党の川端幹事長も指摘した、自民党旧橋本派への1億円ヤミ献金事件で、政治資金規正法違反容疑で告発され、不起訴処分となった橋本元首相らに、東京第二検察審査会が不起訴不当とした議決を取り上げた。永田議員は「元総理に対して結論ありきで形式的な操作が行われたのではないか、との指摘が検察審査会であった」とし、検察制度のあり方に疑問を呈し、見直しの必要性を強く指摘。同時に、現行法の抜け穴を正していくためにも、国会での橋本元首相らの証人喚問実現と、「迂回献金」禁止の条項を盛り込んだ政治資金規正法改正案の今国会での成立の必要性を主張し、小泉首相の認識を質した。首相は、「橋本元首相は昨年の政治倫理審査会で答弁されたと思う。改正案についてはよく協議を」と答弁するだけだった。
永田議員は次に、自民党森派の杉浦官房副長官自身が代表を務める政治団体の政治資金収支報告書を訂正した問題を取り上げた。杉浦副長官の政治団体の報告書は当初、森派の政治団体「清和政策研究会」(清和会)から2000年に700万円、2001、2002年に各400万円の寄付があったと記載していたが、26日に全額を取り消す訂正をした。杉浦副長官は訂正理由について、「党からもらったものを、会計方が清和会からもらったと錯誤していたが、自民党からの寄付だった」と釈明したが、永田議員は「自民党の報告書と食い違う」と指摘。削除前の杉浦副長官の報告書には、2001年6月と12月に各200万円の寄付を受けたことになっていたが、自民党の報告書は12月11日に一括して400万円を提供したとの記載があるなど、すべてにわたる日付・金額の食い違いを永田議員は明らかにした。こうした指摘に副長官は「調査した上でないと回答できない」と突っぱねたので、議場は一時騒然となり、永田議員は「暫時休憩し、調査した上で答弁を」と強く要請したが、杉浦副長官は「精査した上で答えたい」と明確な答弁をあくまで回避した。また、2000年の杉浦副長官の政治資金収支報告書に記載された自民党本部からの寄付についても、「党からの貸付料だが、事実上返さなくてよいと説明を受けた」と述べるなど、永田議員の厳しい追及に杉浦副長官は苦しい弁明に終始。永田議員は、「いつでも職責をかけて答弁している」とする杉浦副長官に、「きちんと調査して明らかにしてほしい」と釘を刺した。
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