鳩山由紀夫幹事長は4日、北海道帯広市を訪れ、市内で講演を行った。この「十勝に新しい政治の風をおこす」と題された講演の中で鳩山幹事長は、小泉改革の本質、食の安心・安全の問題、党改革に向けた決意、自由の失われた自民党内の実状、マンション等の強度偽装問題、孤立を深めつつある日本外交の問題などについて、詰めかけた聴衆を前に語りかけた。
講演会の冒頭、石川ともひろ党北海道第11区公認候補内定者が挨拶し、「地方が元気にならなければ、日本が元気になるはずがない」と訴えた先の総選挙を振り返りつつ、「地方の気持ちを伝えられるような活動を続けていきたい」などと、その決意を改めて力強く語った。
続いて鳩山幹事長が講演。鳩山幹事長はまず、先の総選挙における石川候補内定者の奮闘ぶりを讃え、民主党への一層の支持を訴えた。その上で、小泉首相の「改革という言葉はいいが、関わっている方々が良くなっているのかが全てだ」とし、道路公団民営化、郵政民営化などの言葉だけが先行し、「下手をすると地方の切り捨て、弱者切り捨てになりはしまいか」との懸念を表明。党として、「その視点から物事を見きわめてまいりたい」と述べた。
続いて鳩山幹事長は、「健康で暮らしたい、健康な食べ物を食べたいというのは、全ての日本人が共通して抱いている問題だ」として、食の安心・安全の問題に言及。先般、内閣改造の日に、米国産牛肉の輸入再開が実質上決められたことを指摘し、国民の不安感が逆に増すことになったことに懸念を示した。そして、「一つでも例の出ないように、万全の策を講じるのが政府の役割だ」として、政府・与党のこの問題への対応ぶりを厳しい口調で批判した。
鳩山幹事長は、小泉首相の改革に対する姿勢についても触れ、前原代表が就任挨拶に自民党本部を訪れた際に、小泉首相が、郵政民営化法案に反対する民主党の主張に対して、「そんな細かいことなど言っても、国民が分かるはずがない」などと述べたことを、「そこに小泉首相の本質を見た思いがした」と指摘し、「国民の皆さんにうける言葉を使いたい、そのことしかない」として、支持率万能主義とも言える姿勢に苦言を呈した。
そして、先の総選挙での民主党と自民党のメディア戦略などにも触れつつ、「常在戦場」の意識を持って、選挙対策本部の常設、メディア戦略の一本化などの党改革に取り組み、「二度と同じ過ちを繰り返さないで、前原体制は臨んでいく」との決意を鳩山幹事長は披露。「新しい衆院選候補者の基準も決めさせていただいた」ことも含めて、改めて党を立て直し、たたかっていく決意を力強く語った。
自民党が結党50周年を迎えたことについても鳩山幹事長は触れ、郵政民営化に反対の人たちを全員党から追い出したことで、「言いたいことが言えなくなった」との声が自民党内から聞こえてくる、と述べ、「自由主義・民主主義に真っ向から反する政党になったのではないか」と厳しく指摘。「自民党が放り出した、自由主義と民主主義という一番大事な価値」を民主党こそが掲げていく決意を語り、「友愛、思いやりを大事にすることを原点として、これをはっきり国民の皆さんにお示しする」などとした。
マンションなどの耐震強度偽装問題については、自民党の武部幹事長が、「マンション業界の方をむしろかばうような発言をされた」ことを鳩山幹事長は指摘。「大事なことは、業界の側に立った論理ではなく、徹底的に、被害を受けた方の側に立った議論をしっかりできるか否かだ」として、この問題を国会の場で「徹底的に追及をしていく」決意を明らかにし、「国民の皆さま方に立つのが民主党」で、「業界の側に立つのが自民党」だとして、「根本的な大きな違いを見せていくことがきわめて大事だ」と指摘した。
その上で鳩山幹事長はこの問題に関し、民間がきちんと機能しているか、安心・安全をいかに守るかなどについては国の役割だとし、「惜しみなくお金をつぎ込むべき」だとして、小泉政権の今後の対応を注視していく姿勢を強調。同時に、民主党の主張を小泉首相が「模倣されているような気がしてならない」として、議員年金の問題や特別会計の問題などの例を挙げた。
そして、民主党と政府・与党の「明白な違いが見えるのが、外交姿勢だ」とし、「孤独な日本外交という文字を目にするようになった」ことを、「大変、私たちの国益を損なう話だ」と厳しく指摘。「孤立化した日本と米国が一見手を繋いでいるように見えるが、実はそうではない」ことに触れて、「本当に背筋が寒くなる思いだ」と強い懸念を表明した。
鳩山幹事長は最後に、「新しい本物の政権をつくり出していかなければならない」と政権交代の必要性を改めて指摘し、「その時に民主党はチャンスをつかむことができるか」、更なる努力を積み重ねる決意を披露。「前原・民主党丸が、国民の皆さまの大きな風を受けて発進していくため」に、民主党への更なる支持を訴えかけた。
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