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2005/12/05
憲法改正国民投票法案の制定について (談話)
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民主党憲法調査会長
枝野 幸男


 本日、自由民主党と公明党が、憲法改正国民投票制度について、閣法として提出する方向で調整する旨、合意したとの一部報道がなされた。その後、合意については否定する発言もみられる模様であるが、両党間で閣法での提出が議論されていることは間違いないものと思われる。

 これが事実であるならば、院の権威を無視し、政党間の信頼関係を損ねる暴挙であり、民主党は、断じて受け入れることができない。

 そもそも憲法改正は、国権の最高機関である国会が国民に発議して、その判断を仰ぐものであり、その改正に連なる国民投票法制の制定も、国権の最高機関としての国会自らが責任を果たすべき性質のもので、行政府に依存して制定することは、国会としての責任放棄である。
 また、国民投票法制の中身も、
(1)主権者たる国民の投票行動に関する立法であり、すぐれて政治的で、行政府が介入することは性質上適していない。
(2)その内容に、政党その他の政治団体による国民投票運動の規制などを含んでおり、公職選挙法の多くの改正が議員立法で幅広い政党間の合意でなされているように、政党間の主義主張を競争しあう土俵づくりとして、議会において議員立法で制定されるべき性格のものである。
(3)国会における発議手続を定める国会法の改正または国会法の補完法制の制定と表裏一体となるものであり、これら国会手続きの法制が議員立法で制定されるべきことが論を待たないように、本質的に議員立法が望ましい法制である。

 すでに衆議院では、憲法調査会において、国民投票制度については各党間の合意に基づいて制定することが望ましいことで、民主党と自民党、公明党との間で一致し、これを受けて、先の特別国会において設置された特別委員会においても、議員立法又は委員長提案の形で制定することを前提に、円満かつ積極的に調査を進めてきたところである。過日も、院の派遣で超党派による欧州各国の実態調査を実施し、また、委員長及び筆頭理事間では、今後の協議の進め方についての下打ち合わせも始まっている。
 民主党も、こうした流れを真摯に受け止め、与党側との協議に応じてきたところであり、また、みずからの国民投票法案に関する議論においても、今後の政党間協議の支障となることのないよう、幅を持った形で大綱をまとめるにとどめ、政党間協議に臨むことを党議決定したところである。

 こうした経緯を一切無視し、一方的に閣法での提出にむけた議論がなされていることは、真摯により良い国民投票制度を設け、ひいては、各党間の信頼関係に基づき、衆参両院での3分の2超の合意を得て憲法改正の発議をしようとする意思が、まったく欠けているものと評価せざるを得ない。党利党略、あるいは、調査会、特別委員会における協議がこれまでは円滑に進んでいること踏まえると、与党内における派利派略、個利個略によって、憲法を弄んでいるものである。
 また、院内における議論の積み重ねを一方的に踏みにじるもので、衆議院憲法調査会及び憲法調査特別委員会の権威を著しく毀損するものである。

 憲法という最も重要な問題まで、党利党略、個利個略で右往左往する与党の姿勢に強く抗議するとともに、本筋をしっかりとわきまえ、従来の院内における積み重ねと信頼関係に基づいた対応をするよう、強く求めるものである。もし与党が、現在のような不誠実な姿勢を続けるならば、民主党は、みずからの姿勢を明確にする上からも、来年通常国会前半には、独自の国民投票法案等を国会提出し、閣法と厳しい姿勢で対峙せざるを得ない。


以 上

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