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2005/12/06
森林の違法伐採を考えるシンポジウム開き、問題解決への対策探る
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民主党は6日、党本部で「森林の違法伐採を考えるシンポジウム」を主催。岡崎トミ子参議院議員の司会のもと、パプアニューギニアで森林保護活動を行っているブライアン・バーリン氏、インドネシアで森林リサーチの作業に携わるアブ・ハッサン・メリディアン氏を招き、違法伐採の現状と影響に関する話を聞いた。

 また、グリーンピース・ジャパン森林担当の尾崎由嘉氏、FoE Japan森林プログラム担当の中澤健一氏からは、原生林破壊の実情報告と、求められる対策、消費国・日本の取るべき対策等についての提案があった。

 冒頭の挨拶に立った鳩山由紀夫幹事長は、「国際的なシンポジウムを開催できたことは何より」として、来日した2人に敬意を表明。「生物多様性の宝庫である森林の違法伐採の実態について勉強していきたい」と語った。

 「このままの速度で森林が伐採されてしまうと、原始熱帯林は50年以内に完全に世界から消えてしまうと聞いている」と危機感を示した鳩山幹事長は、同時に、少年時代から蝶好きだった自らを振り返り、かつて目にした蝶を見られなくなった現状について「地球が荒れていることを如実に感じる」と語り、種の絶滅の速度が100年前に比べて4万倍とされる惨状に言及。「動植物が2025年までに6万種が絶滅すると言われており、これは一日に8種の動植物が世の中から消えていく話だ」と指摘した。

 鳩山幹事長はまた、「熱帯林における違法伐採は、原住民の生活も狂わすことになる。また、違法伐採された木材が日本に輸入されることによって日本の木材・森林への影響も出てくる」との認識を示した。

 森林・林業再生プロジェクトチームをつくり、違法伐採の問題に取り組んできた民主党のこれまでの活動を報告した上で鳩山幹事長は、「例えばグリーン購入法に基づいて、違法伐採された木材が日本国内に入らない仕組みをつくるだけでも違法伐採を食い止めることに繋がる」と指摘。同法だけでは不十分な点について、このシンポジウムを通じて得た情報を元に、民主党としての政策を作り上げていく考えを重ねて主張した。

 「日本の木材市場が関わる原生林破壊」と題した尾崎氏の話からは、世界の広大な面積を占めていた原生林が、このわずか30年の間に、原初あったうちのおよそ80%がすでに破壊されるか、大きく姿を変えている現状が報告されると同時に、昭和30年には90%近かった日本の木材自給率が平成10年に20%へと推移した実態が語られた。同時に、その背景・元凶とも言える「原生林地域からの日本への林産品輸入の実情」も触れられた。さらに、「破壊の連鎖はアジア・太平洋地域にも及び、すでに65%の原生林が消失し、インドネシアでは70%が違法伐採と推察される」との指摘があった。

 中澤氏は「違法伐採問題と日本が取るべき対策」と題したレポートで、07年7月のG8サミットでの日本政府が示したコミットメントを3つ提示。「違法に伐採された木材は使用しないという基本的考え方に基づき、『グリーン購入法』を用い、政府調達の対象を合法性、持続可能性が証明された木材とする措置を導入します」等の日本政府の取組みの重要性を指摘した。中澤氏はまた、「現地の人たちを巻き込んだプロセスにしなければ、実効性のある対策はとれない。包括的な対策を打ち出す必要がある」とも語り、「政府調達だけでなく、戦略をもった民主党の対応に期待したい」と述べ、民主党への期待感を示した。

 パプアニューギニアの違法伐採の現状を語ったブライアン・バーリン氏はまず、伐採を行う企業によってつくられた道路の道幅が過剰・無用に広いことが報告され、そこから更なる違法伐採の広がりを呼び込むことになっている実態が語られた。また、生態系の破壊、土壌浸食、成熟した木を切り出すのに何本もの木をなぎ倒してしまうという付随被害、伐採企業による燃料・オイル・燃料・汚染物質の頻繁な漏出と廃棄による環境への影響など、深刻な状況が語られた。

 アブ・ハッサン・メリディアン氏からは、世界で最も早く森林破壊が進むインドネシアの実情が報告され、日常に必要なものを森林から得ている地域社会への影響が浮き彫りになった。地域への影響としては、「伐採企業から地域社会への恩恵は一切ない」「森林消失によって住民の生活が困窮する」「伐採企業による地域社会への学校や診療所などの提供は一切ない」「権利なしに住民を地域や森から強制的に追い出す」などの問題が指摘された。

 アブ・ハッサン・メリディアン氏からはまた、「木材消費国ができること」との提案がなされ、地域社会への影響を常に配慮する重要性をまず指摘。同時に、違法や破壊的に伐採された木材を排除するための対策として、「各国政府による木材取引の規制」「伐採地から消費地まで追跡できる木材(FSC認証を得た木材)を選択するシステムの構築」「社会的・環境的にも責任を担っている製品を選ぶ」などの問題提起がなされた。

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