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2005/12/10
党シンクタンク設立を記念し、都内でシンポジウム開催 活発に議論
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民主党のシンクタンクとして設立された「公共政策プラットフォーム」(略称:『プラトン』)は、10日午後、都内で「地域・現場から国のかたちを再考する」と題した設立記念シンポジウムを開催し、多くの参加者を得て活発な議論が展開された。

 本シンクタンクの理事・事務局長である松井孝治参議院議員の司会の下、まず、代表理事の仙谷由人衆議院議員が開会の挨拶を行った。この中で仙谷議員は、シンクタンク立ち上げの経緯を説明するとともに、政策・政策を担う人材・ネットワークのストックの重要性に言及。「日本の最大のシンクタンクは霞ヶ関だと言われてきた」が、その「限界が大きく見えてきた」として、国のかたち、ガバナンスのかたち、自己統治のかたちがこのままでいいのだろうか、との問題点を提起し、公共政策プラットフォームの今後の活動への理解と協力を呼びかけた。

 続いて理事でもある松本剛明政策調査会長も挨拶を行い、民主党と公共政策プラットフォームが「いい形で連携をとって」いくことが重要だとし、「政策を仕込み、ストックをつくる」ための公共政策プラットフォームの役割に期待感を示した。その上で松本政調会長は、優先順位をつけての取捨選択こそが政治の役割だとして、「生活者・消費者・納税者をベースとした政策の組み立て」の必要性を強調し、「この国の新しい国のかたちをつくっていきたい」との決意を改めて語った。

 この後、シンポジウムは四つのセッションに時間帯を分け、それぞれのテーマで学識経験者、首長、国会議員らが登壇し、活発な議論を繰り広げた。

 第1セッションは「地域主権の国づくり」と題され、増田寛也岩手県知事のコーディネートの下、福嶋浩彦我孫子市長、神野直彦東京大学教授、逢坂誠二衆議院議員(前ニセコ町長)が、いわゆる三位一体改革に関する3年間の議論に対する評価についてコメントし、議論を展開した。

 この中では、「地方自治とは、市民の意志で事業をし、説明責任を、国にではなく市民に対して徹底的に果たしていくこと」、「本当の意味での民主主義社会がつくれるか、この国の将来がかかっている、その原点は自治にある」といった議論から、今回の改革の評価についても、「目標を忘れてダッチロール現象を繰り返し、手順を間違えた」、「税源移譲3兆円を、とにもかくにも実現したことは評価できる」、「評価できるとすれば、政策決定のプロセスの中に自治体が関与できたこと」、「自治と国政との乖離があまりに大きすぎる」などの意見が出された。これからの自治のかたちについても議論が交わされ、「予算要求の段階から、予算策定過程を徹底的に公開していきたい」、「地域社会を基盤にした国民の統合、連帯の絆をどうつくり上げていくかが課題」などのコメントが交わされた。

 インターミッションセッションでは、「都市間FTA提案」について、黒川勝横浜青年会議所(JC)理事長と大塚耕平参院議員が登壇。大塚参院議員をナビゲーターに、黒川理事長が、「横浜JCマニフェスト」の中の、特定都市との都市間自由貿易協定を締結するとの構想について、都市の特性を活かした経済活性化やFTAのスタンダードをつくるという可能性を含めて詳しく語った。また、民間からこうした政策立案が行われることの意義についても黒川理事長は指摘。これに対して大塚参院議員からは、こうした民間からの提言を行政や政治の側がどう活用していくかが重要だ、などの指摘がなされた。

 第2セッションは「コミュニティ・ソリューション」と題して開催。コーディネーターの鈴木寛参院議員が冒頭、コミュニティー・ソリューションの事例として三鷹市立第四小学校の取り組みなどを挙げつつ、小さな政府か大きな政府かといった論争を超え、低負担高満足社会をいかにつくるのかのキーワードとなるのがコミュニティー・ソリューションだ、などと説明した。

 これを受けて金子郁容慶應義塾大学教授がコミュニティー・ソリューションについて鈴木議員の説明をさらに補足。石田芳弘犬山市長は、犬山市での教育に関する取り組みについて言及し、小学校がコミュニティーの拠点となり、つながりが拡がっていくことの重要性を説いた。井上英之慶應義塾大学専任講師も、ソーシャルベンチャー向けのビジネスコンテストでの取り組みなどについて説明した。

 会場からの質問も受けつつ、パネリストからは、「今の与党は競争原理をやろうとしているが、必ず優勝劣敗の構図になっていく」との指摘や、「同じ公共サービスにも関わらず、不公平が発生しないか」などの懸念に対しても、チェック体制の工夫の必要性などが指摘されるなど、予定された時間を越えて、多岐にわたる議論が熱心に展開された。

 こうした議論を踏まえてのクロージングセッションでは、「民主党シンクタンクがめざすもの」として、飯尾潤政策研究大学院教授をコーディネーターに、パネリストとして増田岩手県知事、神野東大教授、金子慶大教授、仙谷衆院議員、松本政調会長が参加して議論を展開。

 仙谷議員は今日の議論を受けて、「自らの課題として問題を提起し、色々な人々の共感を呼び込んで解決方法を議論してつくり出していく」ことの必要性を指摘。松本政調会長も、「今日のセッションは、話が明るい。政治の世界は脅かして国民に選択を迫る話が多い。外向きに明るく伝えることを大事にしたい」などと述べた。増田知事は、三位一体改革の問題点として、「都道府県から、コミュニティそのものの市町村への税源移譲ができ上がっていない、市民に対して具体的な例が届いていない」などと指摘。

 神野教授も、「古い家(制度)を解体する時には、次の設計図を描いて解体するはずだ」として、全体のビジョンを描いた上で個々の政策を議論することの重要性を指摘した。金子教授は、権限を下ろしていくことで全てが自己責任になるのでは、との寄せられた質問に答える形で、分権的なアメリカでも教育に連邦政府が交付するお金は非常に多い、として国の関与の必要性も指摘しつつ、「いいものをどんどんつくって真似して貰うことで、教育に関してはいいのではないか」などとした。

 「部分でなく全体を、だからこそ地方に総合行政を」といった意見や、「社会を切り替える大きなチャンスがある」といった指摘も受け、自民党との違いを問われた松本政調会長は、改革のゴールを設定し、「基本的なところから変えないと全部骨抜きになる事例をたくさん見てきた」と、政権交代の必要性を改めて強調した。

 民主党への期待や注文も相次ぎ、「次の社会への選択肢を明確に描き出して、これを実現する強力な意志と意欲が、予言を自己成就することになる」、「地域の代表である議員が、コミュニティーの発火点のような役割を果たしていただきたい」などとパネラーから発言があったほか、会場からも質問が多数寄せられ、仙谷議員は、シンクタンクで練られた政策・理念を、「信頼の体系に変えていくことが重要だ」などと応じた。松本政調会長も、政治と国民の関係について、「われわれが変われば、国民の皆さんの目線も変わるということを確認できた」などと語るとともに、「具体の政策ではどんどん実現をし、あるべき大きな姿を形づくっていきたい」との意欲を示し、シンポジウムに参加した皆さんへ謝意を表してセッションを締めくくった。

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