前原誠司代表と民主党の決算行政監視調査会特別会計作業チームは18日、特別会計の実態を把握するため、京都・関西文化学術研究都市にある「私のしごと館」を視察した。
視察には、前原代表、馬淵澄夫同チーム事務局長のほか、園田康博・松野頼久・三日月大造・山井和則各衆院議員、尾立源幸・前川清成・山本孝史各参院議員の計9名が参加した。
「私のしごと館」は平成15年3月、雇用・能力開発機構が雇用保険料を原資として、総工費581億円で建設した。中高生やフリーター、ニート等、広く若年者を対象とし、キャリア形成、職業生活設計を支援するため、見るだけではなく、触れて体験することにより、考え学ぶことのできる参加型施設として、40職種以上の職業体験や、700職種以上の職業についての情報提供、及び相談支援や研修セミナー事業を行っている。
視察団はまず、施設の大きさに驚いた。施設規模は、敷地面積が8.3ヘクタール、建物延べ床面積が35,000平方メートルである。また収支の状況は、平成16年度決算額で、自己収入が1.1億円に対し、支出は職員人件費を含めて20億円となっており、職員人件費約4億を除いた運営費の赤字は、雇用保険料等による運営交付金で賄っている。あまりにも採算を度外視した経営に対し、各議員から疑問の声が相次いだ。
館内では、実際にしごと体験をしている子どもたちの様子を見て、来館者が楽しんでいるのは良いことだが、これだけの経費を使って喜んで帰ってもらうのは当たり前であり、効果の面で、実際に職業訓練や就労に結びついているのかは疑問だ、との指摘がなされた。
視察後の記者会見で前原代表は、「想像以上に大きな建物、立派な建物で、贅を凝らしたテーマパーク、アミューズメントパークだ」との印象を語った上で、「本来なら失業など離職者に支払われるべき雇用保険料から、毎年18億強が赤字でなくなっていることを考えると、建物そのものが特別会計の大きな無駄づかいの象徴として捉えざるを得ない」「保険料が、本来の趣旨と違うところに使われて、どれだけ効果を上げているか極めて不透明であり、費用対効果の観点からすると、かなり問題ある施設」であるとした。
その上で、「雇用保険三事業は廃止し、本当に必要な事業は一般会計で見るべきだ」との考え方を示し、「それぞれの施設の使い勝手、意義、費用対効果を相当綿密に分析し、ゼロベースで見直す必要がある」と語った。また、会見に同席した馬淵事務局長は「次期通常国会の予算委員会では、民主党の特別会計改革案を提示してぶつけ合うだけでなく、現在の政府が行ってきた問題ある施設や問題ある区分経理の勘定について、厳しく追及していく」との姿勢を表明した。
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