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2005/02/23
首相の無責任ぶりを糾弾 岡田代表が党首討論で


 今国会初めての党首討論が23日午後、参議院で開かれた。岡田克也代表は、米国の安全保障戦略、年金改革などで小泉首相の認識を質し、先制攻撃論は米国の戦略ではないとする首相の認識を、「基本認識が間違っている。それではどこかで破綻する」と指摘。米国追従の首相の外交姿勢を批判した。

 また、年金を含む社会保障制度改革について岡田代表は、年金改革から始めようと提案。政府は19年度に見直しとしているが、それでは首相としての任期が終了していることを指摘し、「自身に責任が持てないように先送りしている。無責任だ」と首相の先送り体質を厳しく批判した。

 岡田代表と小泉首相のやり取りの要旨は以下の通り。


 定率減税縮減について

岡田 定率減税の縮減が衆議院で議論されている。3期連続でマイナス成長の今、これは消費者心理に悪影響を及ぼす。ここはしっかりとした議論を。

小泉 定率減税の縮減による増収分は、年金の財源にも、地方への税源移譲にもなる。総合的にどの委員会で議論するかは、各党間で。


 日米安保協議について

岡田 先日終了した日米安保協議の共同声明から、「不安定の弧」が抜け落ちたのはなぜか。

小泉 日米がどう協力するかが今回の協議の主眼。今後の問題として出てくるかもしれない。この「不安定の弧」でここ数ヶ月で何か出てくるか、日本がどう対応するか、不透明な部分が多い。アメリカが持ち出さなかったものを日本があえて出す必要はない。

岡田 日米のパートナーシップをさらに強化し、共通する戦略を持つ、となっている。国際テロへの対応は。どう自衛隊は対応するのか。どういう事態で議論するのか。

小泉 紛争地の拡大はテロの温床になる。自衛隊は戦闘行為はできないが、どう関わるか重要。

岡田 共同行動をとる場合は、国連の決議が前提と我々は考えるが、国連の決議がない場合はどうするのか。一線を崩すことはないのか。

小泉 恒久法での対処も検討中。決議がない場合はどういう事態か、想定しにくい。

岡田 アメリカは国連決議を前提とはしていない。単独・先制攻撃論を採用している。先制攻撃論を総理としてどう考えるか。

小泉 パウエル国務長官は、先制攻撃、一国主義をアメリカがとっているというのは、誤解だと明確に述べている。抑止不可能なものについて先制攻撃が適用される。

岡田 3年前の見解を出されるとは驚きだ。だからパウエルさんは政権を去らなければならなかった。アメリカは先制攻撃が戦略。総理は基本認識が間違っている。これでは大きな食い違いが生じる。どこかで破綻する。アメリカに引きずられる。


 年金制度改革について

岡田 首相は、昨年の改革を、産業・経済構造の変化によって持続可能な制度かどうか、懸念があると発言したが。

小泉 非常に変化している。非正規雇用が増え、終身雇用から色々職場を移るようになっている。年金制度の一元化は避けて通れない。同じ仕事をしても、年金の負担と給付が違うことになる。同じ職場で違うのは問題になる視点と思う。

岡田 一元化の必要性を認めたものと評価する。尾辻厚労相は、「所得把握の問題が解決すれば、年金すべての一元化」と答弁しているが、それでいいのか。

小泉 できれば一元化が望ましいと言っている。まず、共済年金と厚生年金との一元化。納税者番号制度をどうするか、事業主負担の部分をどうするか、財源はどうするか、同じテーブルで議論した方がいい。

岡田 そうした問題が解決できるなら、一元化するのか。その決意を。

小泉 早く同じテーブルに着いたほうがいい。解決できれば望ましいと言っている。

岡田 年金・医療・介護の社会保障の一体的見直し論を首相は言うが、介護保険も、19年度に全体を改革するからとして、今回改革を先送りしている。19年には総理の任期は終わっている。自身が責任をもてない範囲で先送りしているのは無責任だ。まず、年金から改革協議に入るべきだ。

小泉 昨年の改革は抜本改革と評価されると思う。三党合意したものを拒否しているのはおかしい。早く協議しないと19年度に間に合わない。

岡田 また議論を戻した。年金は高齢者にとって、ある意味で所得、あとはサービス。どういう年金制度にするかで変わってくるのだから、年金から入るべきだと私は提案した。1年前の答弁と変わらない。やる気はあるのか。

小泉 具体的な数字を入れた議論は党首討論に向かない。早く専門家の議論を進めた方がいい。

岡田 何とか前に進めたいとして議論した。枠組みなしに議論は進まない。まず、年金からと提案している。私が最も恐れているのは、国民が一番関心を持っている年金制度の改革が19年まで先送りされることだ。
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