牛海綿状脳症対策特別措置法(平成十四年法律第七十号)の一部を次のように改正する。
第十二条を第十五条とし、第十一条を第十四条とし、第十条を第十三条とする。
第九条の次に次の三条を加える。
(輸出国についての牛海綿状脳症の発生するおそれの程度の評価)
第十条 農林水産大臣及び厚生労働大臣は、牛又は牛肉その他の牛の一部若しくはこれらを原材料とする製品(以下「牛等」という。)を我が国に輸出する国(地域を含む。以下この項、第十一条第一項、第二項及び第五項並びに第十二条第一項において同じ。)について、農林水産省令・厚生労働省令で定めるところにより、国ごとに、牛海綿状脳症の発生するおそれの程度を評価するものとする。
2 農林水産大臣及び厚生労働大臣は、前項の評価を行ったときは、当該評価の結果を、遅滞なく、当該評価の対象となった国に通知するとともに、インターネットの利用その他の方法により公表するものとする。
3 第一項の評価については、牛海綿状脳症に関する最新の科学的知見等を踏まえ、定期的に、その見直しを行うものとする。
4 第二項の規定は、前項の規定による評価の見直しについて準用する。
(指定国等から輸入される牛等に関する措置)
第十一条 前条第一項の規定による評価を行った場合(同条第三項の規定による評価の見直しを行った場合を含む。)には、その結果に基づき、牛海綿状脳症の発生するおそれが相当程度あると認められる国(既に牛海綿状脳症の発生している国を含む。)を政令で指定するものとする。
2 前項の政令で指定された国(以下「指定国」という。)から輸入される牛肉その他の牛の一部又はこれらを原材料とする製品(以下「牛肉等」という。)についての食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第九条第二項の規定の適用については、同項中「前項各号」とあるのは、「当該輸出国において牛海綿状脳症対策特別措置法第七条第一項の規定による検査と同等以上の基準による牛海綿状脳症に係る検査並びに同条第二項の規定による同項の牛の特定部位の処理に準じた処理及び同条第三項の規定による処理と同様の処理等が行われたことにより、前項各号」とする。
3 指定国から輸入される牛肉等についての家畜伝染病予防法第三十七条第一項の規定の適用については、同項中「その検疫の結果」とあるのは、「当該輸出国において牛海綿状脳症対策特別措置法第七条第一項の規定による検査と同等以上の基準による牛海綿状脳症に係る検査並びに同条第二項の規定による同項の牛の特定部位の処理に準じた処理及び同条第三項の規定による処理と同様の処理が行われたことを確認することその他の検疫の結果」とする。
4 前二項に定めるもののほか、国は、指定国から輸入される牛等に起因する牛海綿状脳症の発生及び指定国から輸入される牛等を使用する食品に起因する衛生上の危害の発生を防止するため必要な措置を講ずるものとする。
5 国は、指定国その他の牛等を我が国に輸出する国(以下この項において「指定国等」という。)から輸入される牛等について、指定国等の名称、当該牛等を輸入した年月日、当該牛又は牛肉等に係る牛の一頭ごとの生年月日、移動履歴等の生育等に関する履歴を明らかにするための符号その他の情報を記録し、及び管理するための体制の整備に関し必要な措置を講ずるものとする。
(輸入された牛肉等の回収)
第十二条 牛等を輸出する国における牛海綿状脳症の発生が確認された場合には、牛肉等の輸入の事業を行う者であって当該国から牛肉等を輸入したものは、既に販売した当該牛肉等について、可能な限り、その回収を行うものとする。
2 国は、前項の回収が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(食品安全基本法の一部改正)
第二条 食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。
第二十四条第一項第十三号中「又は」を「若しくは」に改め、「改廃しようとするとき」の下に「、又は同法第十一条第一項の政令の制定若しくは改廃の立案をしようとするとき」を加える。
理 由
我が国の牛肉の消費量の相当部分が輸入牛肉である現状にかんがみ、我が国に牛等を輸出する国について、牛海綿状脳症の発生するおそれの程度の評価を行うとともに、その評価の結果に基づき牛海綿状脳症の発生するおそれが相当程度あると認められる国から輸入される牛等に関する措置等について定めることにより、安全な牛肉を安定的に供給する体制の確立に資することとする必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
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