5日午前、参院本会議において、障害者自立支援法案(支援法案)の趣旨説明に対する代表質問が行われ、下田敦子参院議員が同法案の問題点を総合的に問い質した。同法案は、先の通常国会に提出されたが、衆議院解散のために廃案となり、政府によって今国会に再び提出されたもの。
冒頭に下田議員は、今回の総選挙は「改革という魔術が人々を幻惑した」というグレゴリー・クラーク氏の言葉を引用して、郵政民営化の底にはアメリカの経常収支赤字を補う意図があるのではないかとの疑念を示した。そして、このような情報を国民が知る機会は皆無に等しかったとして、「アカウンタビリティー(説明責任)を果たさない政治ほど非民主的なものはない」と厳しく指摘した。
下田議員は、平成2年の「福祉8法」の改正による国から自治体への責任の移譲および平成5年の「障害者基本法」の制定を振り返り、なお縦割り行政が残っていることを指摘した。また、平成15年からの「支援費制度」の導入が、措置から契約へとの考え方を芽生えさせながらも、200億円の予算不足を招いている事実を示した上で、この不足額は高速道路建設費に直せば5キロメートル分に過ぎないことを指摘した。
下田議員は支援法案について、民主党が各障害者団体との意見交換を踏まえつつ、先の国会において9項目の修正要求を出して、その内容を正すよう務めた経緯に触れた後、支援法案の問題点の質問に入った。
第一に、中途半端な三位一体改革の中で混乱している自治体が、本法案による「地域生活支援事業」等を財政的に支えきれない場合の対応を質した。これに対して総務相は、厚労省と協議中であり、地方交付税などによって事業の執行に支障がないようにしたいと答弁した。
第二に、重度心身障害者医療費が低所得者以外は自己負担になること等は、財政難を大義名分とした拙速主義ではないかと質した。これに対して財務相は、サービスの安定的供給のためには応益負担は必要であるとの答弁を行った。
第三に、ノーマライゼーションの観点からも、障害者の害の字を「礙」に改めるべきではないかと質問した。これに対して官房長官は、現在の法律用語の原則を説明した後、今後引き続き議論していくことと答弁した。
ここで下田議員は、一級身体障害者の具体例を示して、支援法案の内容について質問を続けた。
そこで下田議員は、応益負担のあり方、継続医療の問題、治療食の重要性、障害者介護給付の認定基準、精神障害者の職業就労訓練にかかる評価基準、健常児童との包括的教育の必要性などについて具体的な質問を行い、厚労相から法案審議の基礎となる考え方を引き出した。
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