トップ > ニュース
ニュース
ニュース
2005/10/06
【衆院本会議】郵政法案審議入り 民主党案の妥当性浮き彫りに
記事を印刷する



衆議院本会議で6日、政府提出の「郵政民営化関連法案」および民主党提出「郵政改革法案」がいよいよ審議入りし、民主党・無所属クラブの笠浩史議員が代表質問に立った。

 笠議員は冒頭、「去る8月8日に参議院で否決された政府提出の郵政民営化法案が、技術的な修正を除いて、そっくりそのまま眼前にあることに強い違和感がある」と指摘。同時に、衆議院を解散した首相の行為は解散権の濫用だったと批判した。その上で「国民の大事な金融資産である郵貯・簡保の330兆円の資金が官から民に流れない政府案では、何十回提出されても我々は断固として反対する」と主張した。

 一方で、「民主党の郵政改革法案は、官と民の役割分担をすっきりした形で示している。郵便と決済・少額貯蓄は官、保険は完全に民、と非常に明確」との見方を示した笠議員は、民主党案の基本理念について提案者に質した。

 答弁に立った『次の内閣』ネクスト郵政民営化担当相の原口一博議員は、民主党案の基本理念について説明。「郵政事業のうちあまねく公平にそのサービスが提供されるべき業務、民間の主体にゆだねた場合には実施されないおそれがある業務については、国の責任で提供することによって国民の権利を保障するとともに、民間にできる業務は廃止・縮小・または民営化すること、さらには、公的部門に流れている民間資金を官から民へと流すことにより地域経済の活性化と財政の健全化に資することを基本理念としている」と述べた。

 続いて笠議員は、民主党案に関して「郵便と少額貯蓄を公社や公社の子会社の下に置くと言っても、決して現状維持であってはならない」と問題提起。民主党案における公社及び公社子会社で経営する部分の効率化について質した。

 その質問を受けて原口ネクスト郵政民営化担当相は「公社という経営形態を維持するといっても、それは既得権を温存し、改革をしないということではない」と述べた上で、公社及び郵便貯金会社は一層の経営の合理化に努めることとなり、具体的には、役職員の削減、メルパルクやかんぽの宿などの廃止、天下りの制限などを定めているとした。

 保険会社の完全民営化をめぐっては、政府案の10年に対し、民主党案では5年で全株式を売却することとしている点に関して質問。政府案の場合、株式完全売却に10年もかけ、しかも、その後で買戻しを可能とする骨抜き条項が入っていると指摘した。

 原口ネクスト郵政民営化担当相は、「政府案は、自民党内のいわゆる抵抗勢力との妥協により新会社間の株式持ち合いを容認することになった」と語り、「民営化」と称するのは、まやかし以外の何物でもないとした。

 「政府案の最大の問題点は、民業圧迫の怖れが非常に強いことだ」と改めて事の本質を強調した笠議員は、いわば、国の信用をバックにした、大手都市銀行7行分の資金量を持った銀行と、大手生保4社分の資金量を持った生命保険会社という巨大会社が、既存の民間マーケットを荒らしまくる構図が出現することを憂慮した。

 一方、民主党案では、限度額の引下げによる郵貯の縮小、保険業務については分割した上で完全民営化するなど、民業圧迫に対する目配りが効いている点に笠議員は注目した。

 経過措置が設けられ、現在の郵貯利用者の利便に配慮している民主党案にある郵貯の預入限度額の段階的引下げ、既存の簡保の契約に従ったサービスは新会社を通して平成19年10月以降も受けられるという保険業務の実態、そして、新会社は他の民間保険会社と同様に、新規商品を取り扱えることになっている点などを笠議員は列挙。「利用者に無用の不安を起こさないためにも、説明が必要」と語り、法案提案者に答弁を求めた。

 法案提出者の永田寿康議員は「誤解のないように説明する」として、「現在1000万円の定額貯金を持っている場合は満期到来までは有効であること」「2007年10月1日以降に満期が到来した場合、再び郵便局に預け入れられるのは500万円までであり、残り500万円は、個人の考えで運用すること」などを明らかにした上で、郵貯からあふれ出たこれらの資金が「官から民へ」流れていくとした。

 次に笠議員は「資金の流れ」の観点から「政府案では、いわゆる民営化後の資金規模やその流れがはっきりしない」と断じた。その上で、「民主党案では、郵貯の規模縮小と簡保の完全民営化によって現在の資金の流れが大幅に変わり、『官から民へ』が実現するものと思わる」と述べ、民主党案が各社に財投債の購入を禁止していることの狙いを質問した。

 永田議員は「わが党案では、340兆円の郵貯・簡保資金の内、かなりの資金が民間部門に流れることになる」と語り、具体的には、2016年度の資金量は100兆円程度になると見込んでいると説明。その根拠としては、現在の通常貯金55兆円、定額貯金が145兆円、定期貯金が11兆円あること、定額貯金が廃止されても民間金融機関の定期預金と同じ商品内容である定期貯金は残ることから、定額貯金の一部は定期貯金あるいは通常貯金に移ると考えるられること、預入限度額が500万円だった1989年当時の資金量が130兆円だったことなどから勘案したとした。

 笠議員は最後に、「民主党は、前原新代表の下、堂々と対案を示し、政府・与党に改革競争を挑むことを明らかにしている。今回の民主党の「郵政改革法案」はその嚆矢となるものだ」と宣言。審議前から「法案修正はしない」と発言する首相の姿勢を問題視するとともに、国民の声に応えるべく、十分な時間をとって議論が行われることを強く求め、質問を終えた。

記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.